参議院選出馬を打診頂きましたが、出馬しません

本日、とある国会議員の方から携帯電話に電話がかかって来ました。

「駒崎さん、電話であれなんですが・・・。参議院議員選挙に、我が党から如何ですか?多くの議員達が、駒崎さんだったら素晴らしい、と」

また先日も、

「駒崎さん、●●区の区長選挙に出ませんか?一緒に頑張りたいんです」

というお誘いを頂きました。

僕のような革命家/炎上キャラに、お声がけいただけるのは大変嬉しいし、本当に光栄です。

でも、今は出馬したいと思う気持ちは200%ありません。

その理由をお話ししたいと思います。

国会議員になるとできなくなることがあるから

僕はこれまで、アクティビストとして、政策提言やソーシャルアクションを行ってきました。

ひとり親の児童扶養手当の値上げだったり、児童相談所改革だったり、小規模保育の政策化だったり、医療的ケア児支援の自治体努力義務化だったり、保育士試験の2回化だったりエトセトラエトセトラ・・・。

これらは省庁の官僚の方に加えて、超党派で議員の方々とコミュニケーションを取って動いて頂く、という形になります。

皆さん、僕の言うことを「民間の現場でやっている詳しい人」として聞いてくれているわけです。

これが「◎◎党の駒崎さん」になると、◎◎党やそこと仲の良い党の議員の方は聞いてくれますが、別の党の議員さんは「なんでお前の言うことを聞かなきゃならんのだ」となります。

というわけで、いち議員となると、今までできていた「民間から制度を変える」ということができなくなってしまうので、社会を変えたい僕としては、その選択肢は取れないわけです。

現場でソーシャルビジネスやりたいやつが少ないから

国会議員になりたい!という人は結構いると思いますが、「ソーシャルビジネスで、医療的ケア児の保育したい」とか「NPOで特別養子縁組を世の中に広げたい」みたいな人って、めっちゃ少ないんです。驚くほど少ない。

そりゃあまあ、そうですよね。儲からない(場合が多い)し、失敗するリスクも大きいし、テレビにたくさん出れるわけでもない。

でも、現場で社会課題と取っくみあうやつが、めちゃくちゃ必要なのです。今目の前で起きてる社会課題が火事だとすると、「火事だ!」ってみんなに叫ぶ役割は必要だし、「こうすれば火が消せる!」っていう解決策をつくる必要もあるわけです。

政治家も官僚も、現場で格闘するわけではなく、現場からあがってきた問題や解決策を制度化していくわけなので、そこは役割分担ということで。

ただ、国会議員になりたい人に比べると、圧倒的に火事に飛び込むやつは少なくて人手が足りないので、自分は人がいない方にいなきゃ、と思うわけです。

女性がもっと議員になるべきだから

日本の女性国会議員比率って衆議院議員で10.1%、参議院議員で20.7%ですよ。圧倒的に少ないですよね。あり得ない低さです。人口半々なのに、なんでだよ、と。

女性議員比率が少なくて、おっさん男子校状態だから、子育て分野とかまるでダメな政策がボンボン実行されちゃうし、選択的夫婦別姓みたいな話もスルーだし。

だから、女性で議員になりたい、っていう人を僕は主に応援したいな、と思います。

単純に向いてないから

が政治に挑戦しようとしていて、毎朝寒い中駅に立ってるのを見て、そしてひとりひとり丁寧に多くの人とコミュニケーションをしているのを見て、「すごいや、自分には到底できない・・・」と尊敬の念が湧き上がるわけです。

まず自分はマンツーマンのコミュニケーションが苦手。初対面の人と話すの、苦行。感じ良くするのも下手。できれば家で引きこもって本読んで筋トレしていたいキャラです。

だから、そっちの才能は無いな、と。残念だけど。
(身内が政治を志すようになって、政治家のコミュ力の高さを思い知るようになりました。みんなリスペクト!)

最後に

そんなわけで、お誘い頂けるのは大変ありがたいのですが、選挙には出られません。

ただ、政治の世界は無理そうですが、行政職なら力を発揮できると思うので、子どもや福祉分野の顧問とかアドバイザーとか副区長とかのオファーは歓迎しています。

あと、自分はやりませんが、NPO・ソーシャルセクターから政治家になろうっていう人は大応援します。現場が分かって、その経験を踏まえて制度つくるのってすごく重要ですので。

現場からは以上です。


編集部より:この記事は、認定NPO法人フローレンス代表理事、駒崎弘樹氏のブログ 2019年1月24日の投稿を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は駒崎弘樹BLOGをご覧ください。