防災の3つのアップデートとは?:第11回G1サミットより

G1サミット2日目(2月10日)には、防災のセッションに登壇しました。パネリストは、高島宗一郎さん、田嶋要さんと私で、モデレーターが末松弥奈子さん。高島さんは福岡市長として九州の防災対策をリードしています。田嶋さんは、東日本大震災後に政府の原子力災害の現地責任者として福島で奮闘されていたたです。末松さんは、熊本地震や西日本豪雨といった災害が起きるたびに、常石造船グループを通じて多様な支援をしてくださいました。

この場で私からお伝えしたのは三つのアップデートです。

1. 避難所のアップデート

平成も終わりますが、避難所は昭和から変わっていません。国際基準ではトイレは20人に1個必要ですが、日本の自治体では50人に1個。震災関連死は避難所で多く発生しますが、衛生環境の悪さが原因の誤嚥性肺炎と、ストレスによる心筋梗塞が二大死因です。避難所のあり方を変えることで、阪神大震災以来5,000人にものぼる震災関連死をへらすことができます。

2. 備蓄のアップデート

72時間は消防・自衛隊・自治体が人命救助を最優先させるため、被災者は自力で生き残る必要があります。そのために3日の備蓄が推奨されてきました。しかし、首都直下型地震や南海トラフでは物流が寸断されるため、一週間は物資が届かない地域が必ず発生します。乳児や高齢者といった災害弱者がおられる家庭は、日常備蓄(ローリングストック)含めて一週間以上の備蓄が必要です。

3. 災害情報のアップデート

自治体は、避難所以外に滞在している避難者を把握できません。首都直下地震がおきれば、避難所以外のマンション、商業施設、オフィスで避難する方が大量に生まれます。地震以外の災害では、余震を恐れないために自宅避難の方が多数になります。そうした方々には、食料やサービスや情報が届くことはありません。

写真AC:編集部

情報技術をつかっていかに行政が避難者の居場所や状況を把握するかが一つ。また住民側も、災害関連情報をえたり、自分の状況を外部に伝えることが必要です。

たとえばヤフー防災速報アプリに登録していると、自治体から災害後の実際の避難所情報や、様々な支援情報を得ることができます。いますぐ登録いただくことをおすすめしています。

災害の話は重要であり、また行政府の取り組みが大事な領域ですが、重視する政治家が必ずしも少なくない面があります。その意味では、高島さんのような地方行政のリーダーや、与野党の議員のみなさん、そして民間の企業やNPOの知恵と力を結集していく必要があります。

ポスト平成時代は、巨大災害の発生確率が高い時代でもあります。一刻も早く、災害対応をアップデートすべく、活動を続けていきます。


編集部より:この記事は、一般社団法人RCF 代表理事、藤沢烈氏の公式note 2019年2月13日の記事を転載しました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は藤沢氏のnoteをご覧ください。