粗大ごみ化する固定電話の使い道

2019年05月14日 06:00

NTTはサービス改善に怠慢

もう数十年は加入している家庭の固定電話の使用価値が急激に落ちています。スマホ携帯は高品質化し、生活必需品になっているのに、NTTは固定電話のシステム向上に無関心です。NTTは振り込め詐欺の手伝いをしているのではないかと、思いたくなります。

ゆからら/写真AC(編集部)

固定電話しか使えない高齢者世帯との通話を考えると、廃棄処分にするわけにもいかない。私の場合、ほとんど発信には使っていないのに、毎月1700円の基本料金は銀行口座から天引きされています。おまけに居間のいい場所を占領しているだけに腹がたち、「NTTは固定電話の将来をどう考えているのか」と、電話機を見るたびに叫んでいます。

スマホを使うようになってから、私の発信は全てスマホからです。固定電話が鳴るのは、相手から月ほとんどで、それも主にテレホンマーケッティングの商品勧誘です。あまりにうるさいので1,2年前から、着信は留守番電話に切り替えました。留守録に発信内容を残さない相手がほとんどです。マーケティングであることが分かります。そんなことのための固定電話ではなかったはずです。

「この家は電話にでない」と分かってきたのか、着信は一日1、2回でしょうか。恐らく電話ナンバーが業者間で売買されており、「この家は電話をしてもむだ」という評価なのでしょう。留守録にしておいても、着信の際に音はするので、何件ほどの電話がかかってきたか見当がつきます。その着信の音も、ほとんどなくなっているのです。相手にとっても固定電話の存在意義がなくなりました。

使わない電話の基本料金1700円

そんな電話のために、なぜ基本料金1700円を払うのか。ある月はダイヤル通話料は100円です。何件かは自宅からかけた通話料です。それにしても、100円の通話のために、1700円の基本料金は高すぎる。

次に、テレマーケティングの多くは、商品紹介をするふりして、家族構成、住宅事情に探りを入れていると、私は疑ってきました。例えば、振り込め詐欺にひっかりそうな世帯、高齢者を探しだし、その情報の転売までしているのでしょう。振り込め詐欺の9割は固定電話にかかってきたそうですから、NTTは結果として、詐欺の共犯者になっていると、思ったほうがいい。

先日、電話が鳴ったので、試してみようと思い、「お前は振り込め詐欺をするための、下調べをしているのだろう」と追及しました。相手は「バカ野郎。名誉棄損でお前を訴えてやる」と怒鳴りました。図星だったのでしょう。「それみろ、詐欺グループだな。訴えたいなら警察へいけ。捕まるのはお前だぞ」と、言い返したのはいうまでもありません。

宅配でも電話注文は拒否

固定電話離れが起きている実例を紹介しましょう。友人が街で新規開店した弁当、総菜の宅配業者を見つけました。店先の表示に「最低1500円、配達料360円」とあり、さらに「宅配の注文は電話では受け付けません」と、あります。「なに、電話注文がだめだと。店まで直接、買いに来いという意味か」。

分かったのは、ネット注文(スマホ、パソコン)に限定し、品目、住所、携帯ナンバーなどをお客に入力させるのです。電話で店員が注文を聞いていたら、情報処理に人手が必要になる。人手不足、人件費の高騰で、コスト削減のために、電話受注は受けない。電話は情報処理に不向きになっているのです。

家庭の固定電話は2010年は4000万件、19年は1700万件です。携帯電話、スマホなどのモバイル(移動体)電話の普及に押され、10年で半減です。この先、どうなるのでしょうか。法人はほとんど固定電話を設置しており、今後も同じでしょうか。問題は個人の電話です。

固定電話にもメリットはあります。「アナログ式の加入電話は停電でも通話できる」、「震災発生の時はスマホは渋滞して、つながらないことが多い」、「携帯を持っていない子供を含め、緊急時の連絡用には役立つ」、「契約や融資の際、固定電話があると、信用につながることがある」などなど。

通信に興味がある知人の提案です。「災害時の情報提供手段に使う」「文字情報を活用した伝達メディアにする」「行政からの連絡版に使う」「家族間の連絡用端末とする」などなど。そのためには、システム変更や機器の開発が必要です。せっかくの通信インフラですから、それを使う工夫をしてみたい。

どうしてもセールス電話をしたい業者がいれば、1件50円から100円を払い、NTTが徴収して、加入者に還元する。それでいいのなら暇つぶしを兼ねてセールスに耳を傾けてもいい。1日10件で500円、月30件で1万5000円以上の稼ぎにはなります。

このままでは家庭の固定電話は都市部ほど減り続け、残るのは地方で、結局、電話ネットワークは虫食い状態になり、維持がコスト的に難しくなるでしょう。戦前から気づきあげた通信ネットワークはいづれ消滅するにせよ、使われているうちは、粗大ごみ扱いをするのはもったいない。


編集部より:このブログは「新聞記者OBが書くニュース物語 中村仁のブログ」2019年5月13日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、中村氏のブログをご覧ください。

アゴラの最新ニュース情報を、いいねしてチェックしよう!
中村 仁
ジャーナリスト、元読売新聞記者

アクセスランキング

  • 24時間
  • 週間
  • 月間

過去の記事

ページの先頭に戻る↑