消費税増税を望むのは、老人と公務員か

2019年07月08日 06:00

一定の増税賛成層

参院選が4日公示されて17日間の選挙戦に突入した。NHKニュースを見ていたら、街頭インタビューの中で1人のお年寄りのご婦人が、候補者に望むこととして消費税の増税を挙げていた。

消費税増税延期の聞き間違いではないかと思ったが、確かに増税と言っており、筆者は軽いショックを受けた。

Green Planet/写真AC(編集部)

しかし考えてみれば、政府が増税の理由として年金財源の確保も謳っているのだから、年金受給世代としては全員がそう思っている訳ではないだろうが、増税に賛成というのも正直な気持ちなのだろう。知り合いの老齢者を思い浮かべても、その感触は受ける。

一方の若い単身者や子育て世代にとっては、年金受給は遠い先であり、政府は消費税増税分を幼保無償化財源等に使う事も謳っているが、それ程直結しては考えていないようだ。

なお、消費税増税に賛成する有権者は、反対を下回るものの相当程度いる。(時事通信6月7~10日調査

その他で消費税増税に賛成なのは、先ずは国地方の公務員が挙げられるだろう。何も統計を取った訳ではないが、何しろ自分の食い扶持がそこから出ているのだから、安定財源の確保を願うのは人情としては自然だ。

加えて、官僚組織のトップに立つ財務省主計局は、増税を成就させる事が財務省「中興の祖」として尊敬を集め、よりよい天下り先も確保されるという仕組みとなっており、強いインセンティブが働いている。

また、他に消費税増税に賛成なのは、バーターで法人税減税を確保したい大企業の経営者、所得税累進課税の税率UPや社会保険料の高額負担でこれ以上取られたくない高給サラリーマン他の高額所得者、及びこれらを取り囲む政界、学会、マスコミ等が挙げられるのではないか。

自助に舵を切れ!

逆に言えば、世論調査で消費税増税反対の方が多いという結果が出ている事を考えれば、まことにザックリ言えばそれ以外の層は、意識高い系を除いて概ね消費税増税に反対と言ってよいのではなかろうかと思う。

EU等では消費税率は日本よりもっと高いが、ただでさえ金を使わない働きアリのような日本人には、消費に対してペナルティ的に働く消費税は相性が悪い。消費税率は下げこそすれ、これ以上上げれば消費の萎縮効果たるや悲惨な結果を日本経済に及ぼすと筆者は考える。

さてしかし、もし消費税を上げないとすると、将来の年金支給等の社会保障財源不足はどう賄うのか?

自助に舵を切れ、と筆者は言いたい。

年金支給年齢は、今よりも限りなく後倒しにする選択を可能とし、代わりにその場合累進的に支給額を増やし、死ぬまであるいはその5年位前まで働ける社会(但し週3、4日勤務等)を構築する。そして年金を「うっかり長生きしてしまったが、運悪く働けなくなってしまった場合の文字通りの保険」として位に置付け、貰わずに死ぬのが理想という程にする。筆者はそういった風が日本人には合っていると考える。

その前に、小さな政府として、国地方の公務員平均給与は基本的に2割減とする。なお人員配置も見直すが、全体的に人員が不足しているなら平均給与を3割減とし、1割増員してもよい。

また一例を示せば、官庁は企業に対して各種経済統計調査を行っているが、財務省、経産省、総務省等、またその各部局から同じような調査を全部合わせれば10件を超える勢いで掛けている。これらは基準を統一して一括調査とし、データベース化すれば官民共に可成りの効率化となる。このような行政の重複は他にもあるだろうから、全体では相当なものになるだろう。

自公は消費増税断行でこの参院選を突っ切るつもりだ。一方の野党の主張は、消費税増税延期、凍結、減税、廃止まで、更に代替財源も様々で百花繚乱だ。

また自民の候補者の中にも消費税増税反対を主張して臨む者もいる。その意気はよいが、ならば消費税増税凍結の議員立法提出を公約に掲げればよいが、そうでなければ選挙用の単なるポーズと取らざるを得ない。

安倍総理は、外交、経済で、他党や党内のライバルが政権を担った場合を少し想像すれば、比較してよくやっていると言えるだろう。

しかし、今回の消費税増税は頂けない。政権の末節を汚し、きっと後悔することになる。

筆者は、総理にギリギリでの改心を促すためにも、参院選で手痛い打撃を与え、国民は明確な意志を示すべきと考える。


佐藤 鴻全  政治外交ウォッチャー、ブロガー、会社員
HP:佐藤総研
Twitter:佐藤鴻全

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