新・中野サンプラザアリーナ構想:区民が求める施設とは

2019年07月12日 06:00

新・中野サンプラザの構想について、議会において説明があったためご報告させていただく。

フリーバード/写真AC(編集部)

高層ビルとアリーナ(規模感は5000~7000人が基軸)を建設する方針であるものの、民設民営であるために事業者次第というものである。

筆者は昨年2018年6月の中野区長選挙で争点になった中野サンプラザの今後について、区とサンプラザの経緯(※1)、少子高齢化における自治体の財政事情(※2)、諸行無常の構造物に対するノスタルジーの成仏の必要性(※3)を考慮して、再整備計画を立案することを中野区に求めてきた。

直近の進捗説明の前に、まず中野サンプラザのこれまでをおさらいをする。

  • 2004年に独立行政法人雇用・能力開発機構(旧労働省所管)が所有していた中野サンプラザを中野区は今後のまちづくりの種地として、土地・建物評価額の半額の53億円で譲渡された。条件として①取得後、10年間の公共性のある運営の継続、②中野サンプラザに勤務している職員の雇用の継続であり、現在その約束は履行された。
  • 譲渡後、プラス収支を継続するもギリギリの採算であり、53億円だった借金は未だ43億円残っている。
  • 2008年、サンプラザ地区に係るまちづくり整備の方針」を議会の議決を経て定まり、サンプラザの再整備が決定する。現在の中野区役所とサンプラザとその周辺合わせての開発となり、現在のサンプラザの約3倍の敷地面積の事業となる。その後、新たにできる中野駅西口との連動した再開発計画となった。
  • 2018年6月の中野区長選挙で、「1万人アリーナ」を打ち立てていた前職に、その見直しを訴えた現職が勝利した。当選した酒井直人区長は区長就任記者会見において、区役所・サンプラザ地区の再開発構想は検証委員会を設立し、「今のサンプラザを建て替える、建て替えないを含めて、かつ1万人アリーナ全体について考えてもらえればいい」と述べ、サンプラザの今後のあり方について区民との対話で議論をする方針を打ち立てた。
  • 見直しのため、長寿命化、バリアフリー、IoTなどの対応を検証するも厳しい結果となった。昨年、中野区は今年で46周年を迎える中野サンプラザの長寿命化の試算をし、今後15年後の2033年まで長寿命化するためには32.2億円のコストがかかるとした。
  • 上記などを踏まえてか、2018年9月の議会において、区長より再整備の方針が打ち出された。

昨年9月から計画は着実に進行している。

再整備事業計画策定に向けた基本的な考え方(※4)を基に、現在の進捗について説明する。

  • 2019年3月の都市計画審議会で土地区画整理事業、市街地再開発事業の関連審議が了承され、再整備は次のフェーズとなっている。

  • 現在、隣接する中野区役所も築51年(1968年竣工)であることから、新・中野区役所の整備計画を行っており、建設費用約280億円(中野区負担分約254億円、東京都負担分約26億円)との試算である。中野サンプラザの再整備によって財源を生み出し充当することとしてきた。

ちなみに昨年においては建設費用221億円との試算であったが、中野区負担分のことであり、床面積の増加、機能拡充、解体費用約5億円程度等により254億円に増額した。

現在は“施設”、“運営”のあり方の本格的な検討を行っている。

  • “施設”の考え方としては、大きく分けて二つ、「多機能複合施設ゾーン(高層ビル)」と「集客交流施設ゾーン(アリーナ)」をつくる。
  • 高層ビルは現在のサンプラザのホール以外の機能を有し、ショッピングモール、MICE利用(ホテル、会議場・宴会場)、オフィスなど現在の機能に加えて、様々な利用が検討されている。
  • アリーナは高層ビルの建蔽率にほぼ影響を与えないと想定され、アリーナの規模感は運営方針により決定される。

全体の骨格は以上であるが、詳細は運営のあり方により異なってくる。

  • 運営のあり方として大別すると「設置」を公設・民設、「運営」を公営・民営があり、民間活力の活用、公共性、財政、様々な観点から決定する必要がある。
  • 高層ビルは民設民営の方針であるが、アリーナは公設民営・民設民設のどちらにするのか検討を重ねていた。
  • 公設民営は、運営に民間のノウハウを活用する手法であり、指定管理者制度やコンセッション方式が考えられる。運営における収益を得ることが前提になるが、施設所有のコストがかかるため、区のリスクは残ることになる。
  • 民設民営は区の手を離れた事業になるためにリスクはなくなるが、区民ニーズに応えられる施設になる保証はない。民間としては利益確保の最優先は当然である。
  • アリーナの規模は収益との関連が強いため、公設・民設のあり方と直結する問題である。

小規模は収益を出しづらく、経営リスクがあるため公設とせざるを得ない。

大規模はスケールメリットを生かした収益が見込まれるため、民設民営とすべきである。

また屋外広場空間は興業においてウェイティングスペースが必要である。

すべてを勘案すると5000~7000人規模のアリーナが妥当であるとの判断である。

しかし、民設民営であるためにそれを決めるのは事業者となる。

ここからは私見であるが、そもそも区が望む施設、つまりは区民が求める施設とは何なのかが議論されてきたと思う。

しかしサンプラザの施設はホール、レストラン、会議室、宴会、ホテルなどがあるが、区が一般の区民のためにサンプラザで催すイベントは成人式しかない。

無論、施設を利用される方も多いが、何よりもサンプラザのランドマークとしての存在感の大きさは誰もが認めるところである。

再開発に反対される方の多くがその点に関心があると思う。

つまりはサンプラザに強く求められるのは施設機能よりも、ランドマークとしての存在である。

新・中野サンプラザを間近で見たときに中野に帰ってきたと実感し、遠くから見たときにはあそこに中野があると認識できる、そういった存在感が求められている。

新・中野サンプラザの存在感が今よりもあれば、多くの方々が納得するものと考える。

そう考えると施設機能に関しては多くの来街者を引き込むものになれば、ある側面から区民が求める施設になる。

民設民営である以上、区がどこまで要望できるかわからないが1万人アリーナを建設すれば、様々なイベントが行われ、活気が生まれる。

新しいサンプラザにおいてはランドマークとしてだけではなく、機能も愛される施設になってほしいと切に願う。

参照:
※1 なぜ中野サンプラザを建て替える必要があるか?(2018年09月13日)
※2 お先真っ暗、自治体財政の将来推計:中野サンプラザ建て替え要因(2018年10月05日)
※3 中野サンプラザ建て替えのカギは「ノスタルジーの成仏」(2018年11月09日)
※4 再整備事業計画策定に向けた基本的な考え方

加藤 拓磨   中野区議会議員 公式サイト

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