悠仁様の歴史教育を小和田恆氏にさせるべき理由

2019年07月12日 11:31

月刊誌『正論』の8月号(7月1日発売)に《悠仁親王殿下の教育 私はこう考える》という特集があり、ジャーナリスト 櫻井よしこ、皇學館大學教授 新田均、麗澤大学教授 八木秀次、産経新聞客員論説委員 石川水穂、ジャーナリスト 葛城奈海の各氏のと並んで、私の「世界史教育は小和田恆氏が最適」という論考が掲載されている。

限られた字数だったので舌足らずのところもあるので、少し意図を説明しようと思う。

半藤氏(左)と悠仁様(紀伊国屋書店HP、NHKニュースより:編集部)

「週刊文春」に、作家の半藤一利氏が秋篠宮家に招かれ2時間半にわたって戦争についてレクチャーをしたという記事が載っていた。上皇陛下からのお勧めだという。

小学校高学年になれば学校でも歴史の学習が始まる。また、秋篠宮家はけっこう歴史教育にも熱心で、神武天皇陵などにも年長の愛子様などより早く連れて行かれたし、伊勢神宮や広島・長崎・沖縄も同様だ。

眞子様問題で秋篠宮家の教育に疑問が投げかけられたが、悠仁様については、紀子様も良い意味での教育ママぶりを発揮されているようだ。

その一環ということもできるわけだが、戦争のことを半藤氏からと聞けば、将来の天皇となるべき方が戦争を理解されるのに、まず、半藤氏から話を聞かれるというのが妥当なのかは首をひねる人が多いかと思う。

少年であるからあまり特定の傾向に影響されてしまうのはよくないので、学校で学ばれているであろう戦後史観的な見方を政府見解や保守的な意見で少し補正しつつ知るのが基本であるべきだと思うのだが、学校で習うことに加えやはり戦後史観的な半藤氏では一つの色に染まりすぎになりかねない。

そこで、私はどう考えるかというと、歴史学者の話は、新しい発見や視点を知るには面白いが、将来において天皇になるべき人の教育としては、現場感覚やリアリティに不足する限界がある。

歴史研究者には、素人は学者の見解に従えと言う人もいるだろうが、逆に、学者の意見を参考して実務経験者が語るほうが実用的だと思う。

日本記者クラブ動画より:編集部

世界史についていえば、誰よりも、雅子皇后の実父である小和田恆・元国連代表部大使が最適だと思う。外交官として、あるいは、雅子様の実父としての批判はないわけでないが、日本が歩んできた道についていえば、あれほどの学識と実務経験に裏付けられた議論は展開できる人はほかにいない。

私も欧州でのシンポジウムで二度ほどご一緒する機会があって、そのときにその学識の深さに感嘆したことがある。

それに、これは、両陛下と悠仁様の絆を深めるためにも好ましいと思う。今上陛下と悠仁様のあいだには、現在の制度がそのまま運用されれば、秋篠宮殿下が即位されるが、ごく短期間ということになるはずだし、また、今後の議論によれば、即位を辞退されることもあるかもしれない。

どちらにせよ、悠仁様は実質的には今上陛下のもとで次世代の天皇として帝王学を学ばねばならないはずだが、いまのところその枠組みが組まれていないので課題となる。

そんななかで、雅子様の実父である小和田氏がそのような役割を果たすのは良い影響を与えると思う。

また、小和田氏は最近も頭脳明晰で体力もあり、若い外交官などと徹夜でもいいから議論したいとおっしゃったこともあるというようなことも聞く。

世界の歴史のなかで日本がどのようにすべきか、天皇の役割はというようなことを実務体験に基づいて語るには最適任だと思う。

もう一人上げるなら、元NHKの磯村尚徳氏だ。軍人だった父がトルコ駐在武官だったので、現地のフランス人学校で学び、学習院中学や大学で学ばれた(高校は都立戸山高校)というのも、皇族の教育には最適任と思う理由だ。

とくに、皇室と王室の交流が多い欧州や中東の歴史に詳しいのが好ましい。

このほか、地域別では、アメリカ史は元駐米大使で伊藤博文の子孫でもある藤崎一・元駐米大使、中国は宮本雄二・元註中大使、韓国は武藤正敏・元駐韓大使あたりだろうか。やはりこういう分野では外交官経験者は好適だ。歴史学者の話を最初に聞いても、現代の日本の天皇や皇族とどうつながるかはっきりしないと思う。

家庭教師的にというなら歴史作家で予備校のカリスマ講師でもあったアゴラでもおなじみの宇山卓栄氏もいる。「王室で読み解く世界史」(日本実業種出版)も書いていて、帝王はいかにあるべきかという視点も備えている。

ついでに、日本史についていえば竹田恒泰氏のご先祖たちへの思いをまず聞くべきであろうと思う。竹田氏の論壇での立場はともかく、歴代天皇についての知識なり「広い意味での天皇家」の一員としての視点での分析はやはり比類がないし、皇室の方々はもっと耳を傾けるべきなのだ。

別の文化的な視点から皇室の伝統を語るとすれば、所功先生だろう。立場的にもお人柄から言っても竹田氏と併せたらバランスがいい。

どんな本を読んだらいいかという観点でいえば、やはり私自身の本を勝手に推薦しておこう。私の各種の通史は、もともと政治家や官僚など実務家がどう世界や日本の歴史を理解すべきかという観点に立ったものだ。

世界と日本がわかる 最強の世界史』(扶桑社新書)や同じシリーズの日本史、中国史、韓国史にせよ、『令和日本史記』(ワニブックス)、『世界の王室うんちく大全』(平凡社新書)などはそういう視点から書いたものだ。

ただし、個人の仕事なので、限界があり、本来は日本政府や外務省がその主張を「正史」的なものとしてきちんとまとめるべきだと主張してきた。

中国や韓国は古代にまで公式見解を持って歴史戦を戦っているのに、日本はそういうものを持たないことで、すでに歴史戦に負けているのだ。「任那」や「百済滅亡と白村江の戦い」についてどう考えるかということについて、向こうはしっかりした意見を国民が共有しているというのは情けない限りだ。

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八幡 和郎
評論家、歴史作家、徳島文理大学教授

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