韓国教科書に「日韓基本条約」は無い!狂気の歴史ロンダリング

田村 和広

不思議な異邦人の思考や言動を理解するために、「歴史」をテーマに4回にわたり検証したが、今回はそれらのまとめになる。

今こそ我々は、歴史に学ぶときではないか。
(「『韓国を打ち懲らしめよ』と叫ぶ前に:今こそ歴史に学ぶとき」アゴラ8月24日)

提案した手前、自ら「韓国における歴史の扱われ方」をテーマとして調べ以下の通り報告してきた。

「日本人は朝鮮民族に対し侵略や強制連行など非人道的な悪行を行った」ので、「被害者」である韓国は永久無限に、「加害者である」日本に対してならば何をしても良いのである(と韓国人は思っている)
(「韓国は日本にならば何をしても許されるのか」アゴラ8月28日)

韓国人の多くが「日本は今でも朝鮮半島を侵略しようとしている」、「だから日本の再侵略に備えて民族を統一しなくてはならない」、「それには朝鮮半島を(正統性のある北朝鮮主導で)統一する」ことが重要だと考えている
(「法統性の韓国vs.正統性の北朝鮮 文在寅大統領の反日はどちらか」8月30日)

韓国における「歴史」の定義には「客観的事実としての歴史」と「歴史家が主観的に再構成した歴史」の2つがある
(「歴史教科書で反日の理由が判明!韓国には2つの「歴史」がある」9月1日)

韓国には、「証言または記述された事柄」ならば現実に起きたことかどうかとは無関係に「事実」と認定してしまう特徴がある。もはや「歴史ロンダリング」である。国内だけならともかく、その「妄想歴史」を、日本と国際社会に押し付け謝罪や賠償を要求してくるので黙認できない。

「歴史ロンダリング」とは

ところで韓国において歴史が捏造される構造は「マネーロンダリング」に似ているので「歴史ロンダリング」と呼ぶことにした。

only alice/flickr(編集部)

【定義】

「マネーロンダリング」:「不正な資金を、金融機関を転々と移動することで正当な資金に洗浄すること」

「歴史ロンダリング」:「虚偽の歴史を、証言者と記録者を転々と移動することで「真実の事実」に洗浄すること」

余談だが「歴史ロンダリング」とよく似た事象にマスメディアによる「ソース(情報源)ロンダリング」がある。まず虚報を発信し、それで起きた国内外のリアクションを客観的な第三者を装って追加的に二次報道して煽る(以下繰り返し)。こうしてハウリング効果を持つフェイク情報の増幅回路が完成する。

最初の報道がどれだけ偽りであっても、リアクション自体は事実なので二次報道以降は「事実へまっすぐ」な報道である。これは、初報の過ちを指摘されても「趣旨が違う」と逃げ切れたので悪質な騙しのテクニックだった。しかし毎日に関しては虚偽報道訴訟で間もなく原英史氏によってその不義を討たれるであろう。

歴史ロンダリングの実例:「従軍慰安婦」

まず、吉田清治という詐話師が「日本軍の命令で朝鮮人女性を強制連行して慰安婦にした」という嘘を発表した。これを新聞が報道するうちに韓国内からも「強制連行された」という元慰安婦の証言者が現れた。そこで新聞や活動家が日本国内外に虚偽の情報を広め、日本政府も根拠なく軍の関与を認めたことになってしまった。

その後吉田清治の話が全くの虚偽であることが判明し、およそ30年遅れで朝日新聞も誤報として訂正したが、証人や誤報を根拠として国連でも特別報告がなされ、世界中で従軍慰安婦=「SEX SLAVE」という、事実に基づかない「歴史的事実」が固定されてしまった。

検証:教科書上の「日韓基本条約」情報

1965年の日韓基本条約調印(ハンギョレ新聞より引用)

ここ最近の文在寅政権は日韓基本条約の破棄を目論んでいるように見えるが、日韓関係の1965年以前への巻き戻しは、韓国側の負担も巨大であり正気の沙汰とは思えない。国民はそれを支持できるのだろうか。

国民の認識を知るべく、日韓基本条約に関する記述ぶりを国定韓国歴史教科書で確認した。まず、本文には「韓日基本条約」という名称の記述がない。戦後の日韓関係におけるこの歴史的な事実に関しては、次のような2つの記述にとどまる。

政府は日本との国交を正常化することによって(1965年)(同書P478、太字は筆者)

1965韓日協定調印 (同書P513巻末年表)

これだけである。

韓国の教科書上の情報を整理すると以下の通り。(記載あり:〇、記載なし:×)

×「韓日基本条約」

×「請求権協定」(ただし巻末に韓日協定という名称のみの記載あり)

×「日本による韓国に対しての経済協力」

×「完全かつ最終的に解決されたことを確認した事実」

×「合計5億米ドルの経済支援及び民間融資3億米ドルの経済協力支援」

×「朝鮮半島における日本資産請求権の放棄」

特筆したいのが、日本による資金支援を元手に成し遂げた経済成長について同教科書では次のように記載し、あくまで日本の資金支援はなかったことにしている点である。

このような困難な状況でも、持続的な経済開発計画を成功裏に推進することによって、わが国の経済は画期的な発展を達成できた。

「成功裏に推進することで発展を達成」というのは循環論法ではないか。

※使用教科書:「【新版】韓国の歴史【第二版】国定韓国高等学校歴史教科書」(明石書店、「世界の教科書シリーズ1」、訳:大槻健氏、君島和彦氏、シン キュ ソブ氏)ただし、1996年の教科書であり最新版ではない。

一方、山川日本史の状況は以下の通り。

〇「日韓基本条約」(条約本文第一条から第三条の文言が記載されている。)

〇「請求権協定」(脚注に請求権・経済協力他の4協定の説明あり。)

×「日本による韓国に対しての経済協力」

×「完全かつ最終的に解決されたことを確認した事実」

×「合計5億米ドルの経済支援及び民間融資3億米ドルの経済協力支援」

×「朝鮮半島における日本資産請求権の放棄」

教科書本文中には、名称と概要こそ記載されているが、「問題が解決された」という日本政府の立場や「経済支援の事実や金額」、「日本資産の放棄」などの重要な情報は確認できない。欄外や年表にも見当たらないので記載されていないようである。

(なお、確認教科書は市販本を筆者が購入した版なので、学校に供給されているもの一字一句同一かどうかは不明である。)

これが近隣諸国条項の影響なのかどうかは不明であるが、こういった日本側の迂闊さが、歴史問題で事実と違う主張を押し込まれても有効な反論を即座にできない日本人を形成していると思われる。

韓国教科書は重要な国民統治の政治的ツール

結局、日韓基本条約について韓国の教科書では、「国家が主観的に再構成した歴史」を記載している。積極的に虚偽を記載しているわけではないが、最重要情報を意図的に不記載としている。日本が「ポツダム宣言」を教科書に載せないくらい不自然な操作である。

これは「従軍慰安婦」で使った手法とは真逆の「歴史教科書に載っていないからそのような史実はなかった」という事実隠蔽処理である。これも歴史ロンダリングと言えるだろう。

まとめ

文在寅大統領は、北朝鮮との統一に踏み出したように見えるが詰め切れる計算は立っているのだろうか。

個人として立派な韓国人は多いが、国家として「道徳的に日本より立場が上と錯覚している」韓国とは、もはや日本は正常な交渉は不可能である。福沢諭吉が見切ってから1世紀以上を経た今でも性質が全く変わっていないが、今後もきっと変わらないだろう。

1910年、大韓帝国を併合したことは、対米戦争と並ぶ日本史上屈指の過ちであった。

田村 和広 算数数学の個別指導塾「アルファ算数教室」主宰
1968年生まれ。1992年東京大学卒。証券会社勤務の後、上場企業広報部長、CFOを経て独立。