朝日新聞はゾルゲ事件を徹底検証し自己批判すべし

八幡 和郎

昨夜のロシアのテレビ・ニュースで、ウラジオストックでゾルゲの銅像の除幕式が行われたことを準トップニュースとして大々的に報じていた。ゾルゲは1941年10月に逮捕され、1944年のロシア革命記念日である11月7日に刑死したので、それを顕彰するものであった。

ゾルゲと尾崎秀実(Wikipedia)

報道では「日本はロシアを攻撃しないという電報をモスクワに送り、第二次世界大戦の勝利に貢献した」と功績を伝えていた。こうしたニュースは日本のマスコミも大々的に報じるべきだが、テレビも新聞もどこも報じてないのではないか。

さらに「ゾルゲはスパイと言うだけでなく偉大な学者であり日本分析家だった。近衛首相側近で朝日新聞記者の尾崎秀実と協力して情報を伝えるだけでなく、日本の作戦を南進に向けるために成功した」と正しい指摘も。来年には東京にある墓の土をモスクワに送る計画があるそうだ。

ロシアのテレビ・ニュースでは、別の機会にも「あの情報がなければ極東軍団を西部戦線に投入できず、モスクワは防衛できたかどうか分からない」と伝えていた。

もしゾルゲがいなかったら、太平洋戦争が起きたかどうか分からないほど大事なことだ。私はコミンテルン陰謀論的なものをすべて肯定するつもりはないが、ゾルゲ事件のようにロシアもその重大性を認めていることを日本国民に対して隠すというのはどういうことか。

日本のの教科書にも載せるべきことだし、あらためて真相と関与した人物の洗い出しをするべきだ。

とくに、朝日新聞は率先して真相究明すべきだ。そして、国民に対して謝罪広告くらい出すべきだ。

八幡 和郎
八幡 和郎
評論家、歴史作家、徳島文理大学教授