『シン・ニホン』の素朴な疑問

井上 貴至

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多くの友人がシェアしている慶應義塾大学環境情報学部教授・安宅和人さんの『シン・ニホン』(2020年NewsPICKS PUBLISHING)を拝読。

400ページを超える本ですが、非常にざっくりいうと、

人口減少社会では、大量生産型の企業は限界を迎えている

あらゆるもの・サービスにおいて、データとAIが連動する社会になってきており、そうした社会に対応する人材の育成が急務である。

ということ。

豊富なデータで説得力がある本ですが、以下のような疑問が浮かびました。

1)データ×AI人材の養成が必要なことは分かるが、今からそうした人材を養成して、アメリカや中国に勝てるのか。アメリカや中国に技術的なアドバンテージがあるだけでなく、アメリカや中国の方がマーケットが圧倒的に大きい分、さまざまなデータを集めやすく、勝つのが難しい土俵ではないか。

2)先進国の中で日本の生産性が低い、ほぼ日本だけが近年伸びていないのはそのとおりだが、伸ばす方法はデータ×AIだけなのか。フランスやドイツ、スイス、デンマークなどデータ×AI以外の方法もあるのではないか。

3)データ×AI社会は、巨大なプラットフォーマーが利益を独占しやすく、アメリカや中国のような格差社会・分断社会が生まれるのではないか

愛媛県時代に大学のゼミの先輩と立ち上げた読書会のように、『シン・ニホン』を片手に、みんなでかんかんがくがく議論したくなりました。


編集部より:この記事は、井上貴至氏のブログ 2020年3月20日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は井上氏のブログ『井上貴至の地域づくりは楽しい』をご覧ください。