3密回避の秘策も遅々として進まず 〜 コロナショックもマインドチェンジが追い付かない

2020年07月01日 06:00

ヨーロッパのカフェテラス(ゆりかもめねこ/写真AC)

コロナ禍において3密回避のために国土交通省は6月5日に「新型コロナウイルス感染症の影響に対応するための沿道飲食店等の路上利用に伴う道路占用の取扱いについて」を発表した。

「この取組により、新型コロナウイルス感染症の影響を受ける飲食店等の皆様によるテイクアウトやテラス営業のための路上利用について、地方公共団体等が一括して占用許可の申請をしていただくと、道路占用の許可基準が緩和されます」

とされており、一定の条件を満たすと公道をテラスとして利用できるものである。

くしくもこの発表の前日にその趣旨の記事(アフターコロナのまちづくり ~ 山手線外自治体の選択)を掲載させていただいた。密を避けるためにはまずは室外という発想は、誰も思いつく方法ではある。

内容:

  •  新型コロナウイルス感染症対策のための暫定的な営業であること
  • 「3密」の回避や「新しい生活様式」の定着に対応すること
  • テイクアウト、テラス営業等のための仮設施設の設置であること
  • 施設付近の清掃等にご協力いただけること

主体:地方公共団体又は関係団体※1による一括占用※2
※1 地元関係者の協議会、地方公共団体が支援する民間団体など
※2 個別店舗ごとの申請はできません。

場所:道路の構造又は交通に著しい支障を及ぼさない場所
※ 歩道上においては、交通量が多い場所は3.5m以上、その他の場所は2m以上の歩行空間の確保が必要です。
※ 沿道店舗前の道路にも設置可能です。

占用料:免除(施設付近の清掃等にご協力いただけている場合)

占用期間:令和2年11月30日まで

私が住む中野区においては中野駅周辺開発が進んでおり、今後、エリアマネジメントを実施するために調査研究を行っている段階である。(参考:“エリマネ”って何?中野サンプラザ再開発後の中野

中野区はエリアマネジメントの初級編ともいえる公共スペースのテラス利用ができるこの取組について注目していて、新型コロナウイルス感染症対策としての沿道飲食店等による路上利活用の推進について(中野区沿道飲食店等路上利活用推進事業)」として、本制度の利活用を推進している。

警察との連携も図っており、商店街などの団体が地元自治体・警察の許可を得れば実施できる体制が整った。そのため、私の所属する中野区議会の自由民主党では商店街を中心に数団体、この制度を利用できないか打診をしたところ、以下のような意見があった。
  • そもそもテラス席を置くと条件にある2m以上の歩行空間を確保できない。
  • もしテラス席を設置できたとしても道の片方のみであり、不公平である。
  • 2階以上の店は何もメリットがない上に入り口を狭められるというデメリットが生じる。
  • 商店街のある飲食店が団体に加盟していないため、制度利用する意味がない。
  • 実はすでに許可を得ずにテラス席を設けており、制度利用自体が藪蛇になる。

ここでは詳細に明記できないが、商店街などの団体は価値観が多様化する世の中でそれぞれの加盟店の意見に対して、バランスを取ることが困難になっているように感じる。各店舗ではコロナ対応が進められてきたが、長い時間をかけて形成された地域でのルール・慣習などはコロナショックでさえも変えていくことは難しい。

3密回避として全国一律のルールをつくるも、それを地域に当てはめるのは簡単ではない特に都心部においては、1階のテラス席が設置できるテナントはそれだけの価値があるというマインドチェンジが必要である。コロナ禍でそれどころではないが、テラス席が設置できるのであれば、状況に応じて、1階のテナントの家賃を上げることもできるだろう。

しかし、感触としてはその道のりは厳しいため、事例を増やす必要がある。これから再開発をする地域がポイントになると考える。再開発おいては延焼遮断帯(※)を形成することがマストとなる。
(※延焼遮断帯:地震に伴う市街地火災の延焼を阻止する機能を果たす道路、河川、鉄道、公園等の都市施設及びこれらと近接する耐火建築物等により構成される帯状の不燃空間。震災時の避難経路、救援活動時の輸送ネットワークなどの機能も担う。防災上の重要度から、「骨格防災軸」「主要延焼遮断帯」「一般延焼遮断帯」の3区分がある。)

都市計画道路を引き、セットバック、立ち退きなどによる道路幅員の拡大により、災害に強い街になる。しかし、それが商店街となると、“にぎわい”がなくなるとの懸念から再開発の反対運動が起こることがある。

テラスがある街並みはこれの問題点を埋める一つのツールになると考える。いい意味で混雑していた商店街が道路幅員の拡大で閑散としてしまうことを、テラスの設置を許可することで安全性を担保しながら、にぎわいを維持できる可能性があると考える。

そのためにも再開発の計画段階でテラスがある街並みを住民・関係者で共有イメージを持つ必要がある。テラス設置の制度利用に対して好感触を示している商店街があり、進捗があれば、ご報告させていただきたい。

アゴラの最新ニュース情報を、いいねしてチェックしよう!
加藤 拓磨
中野区議会議員、元国交省研究官(工学博士)

過去の記事

ページの先頭に戻る↑