本当の「目線」は中小零細企業経営者とその家族、従業員に向けられるべきでは-中川信博

2009年02月24日 13:02

米国における金融システム崩壊がもたらした、100年に一度の未曾有の世界同時不況に対する、麻生政権の対策を盛り込んだ予算が成立したにもかかわらず、民主党が関連法への審議拒否をしている為に本日も株価は下落し、政権の支持率は11%と、もはやレームダックといえる状況です。

今回の我国の財政出動を米国のそれと比較して様々な論説が跋扈致しておりますが、どれも正鵠を得たものが無いような気が致します。


野党民主党は今回の破綻が小泉構造改革を支えた「新自由主義経済」「資本主義市場(至上)経済」にあると、犯行説を立ち上げ、彼らが元来主張していた、その予算を重厚長大な社会保障制度構築にばら撒く、ほとんど社会主義経済かと錯覚するかのような巨大干渉型政権をつくろうとしています。民主党のマニュフェストを読んでいると、使うことばかり書いてあり、いかに歳入を確保するかの理念も政策も欠如しています。

一方マスメディアは大手TV局を中心に麻生総理に対するネガティブキャンペーンをはり、早期の総選挙実施に奔走しているように思えます。一説に与野党の選挙CM費200億ともいえる選挙対策費用争奪戦は熾烈を極めているようです。

さて政府、自民党、民主党の今回の対策案やその主張、TV、雑誌を中心とするメディアの主張には中小零細企業への対策、配慮が不足していることは残念です。先般日本綜合地所が更生手続きを開始しましたが、あの債務1970億円で資金繰りがいかなくなった中小零細企業は何十、何百社にのぼるのでしょうか。にもかかわらずマスコミで問題になった「内定取り消し者」53名へ100万円の支払いは済んでいるといいます。さらに調整にかかわった労働組合には調停金も出していると発表されていました。本来であればそれらのお金は債権者のものではないでしょうか。

中小零細企業の多くは3月期に厳しい決算を向かえることになるとおもいます。決算が悪ければ4月以降に新たなる運転資金の確保が難しくなるのは必死でしょう。

経営者は従業員の雇用確保に個人資産をつぎ込み挙句のはてに倒産、再起不能となります。断腸の思いで解雇をするにも退職金などは準備が出来るわけがなく、同じく個人資産を担保としてそれらの資金を調達することになります。

もともと中小零細企業への金融機関の審査は厳しいもので担保に個人資産を充当しています。派遣社員が解雇をされ、寮の立ち退きを命じられてもある程度の保障は受けられます。(今回は派遣村までできた)しかし個人資産を担保に(多くは自宅等の)事業資金を調達している中小零細の経営者は倒産の憂き目に会えば、これまでの人生の証を一瞬に失うことになります。そしてそれはあくまでも自己責任(企業家のリスク)として処理されます。しかしこれらは資本主義のルールであり、ある程度は致し方ないことだとのコンセンサスは自由起業人にはあります。ですから泣き言は申しません。

大企業から派遣契約更新を終了されたり、内定を取り消しにされたりしても組合を巻き込んでごねれば、一票でも欲しい民主党や共産党が政治的に動いて何らかの過剰救済処置が講じられます。しかし大手企業の下請け(協力会社と呼称されることが多い)中小零細企業は仕事がなければ発注が無いだけです。ましてや計画が延期になっても(発注書、請書のやり取りが済んでいてるような)違約金など請求できるわけがありません。

民主党及び、総選挙を待ち望んでいるマスメディアは京品ホテル問題や派遣斬り問題を大きく取り上げ言挙げしております。(京品ホテル問題は拙ブログでも論説しております)しかし中小零細企業の困窮を取り上げるマスメディはありません。

私はせめて倒産や廃業の憂き目に会う、中小零細企業の経営者が個人資産をつぎ込まなくても、従業員にそれなりの手当てを出来るような救済措置は無いものかと常々考えております。救援を待ち望んでいるのはこれら中小零細企業経営者とその従業員なのです。

過去地方、大都市にかかわらず中小零細企業経営者は自民党の支持基盤でありました。しかしその支持基盤も自民党は社会党との連立以後徐々に失い、公明党との連立以後は目に見えて崩壊しています。もはや我国には自由主義を標榜する政党はなくなりました。

(現在派遣中 零細企業取締役、ITコンサルタント) 中川信博

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