ポストWeb2.0と呼べる世界の特徴を大きく分けるならば、僕は 以下の2つをあげます。
一つは”クラウドコンピューティング”。もう一つは “超新鮮なWeb(The Super Fresh Web)”です(リアルタイムウェブという呼び方もできますが、僕はこっちの方が好きです)。
クラウドコンピューティングのクラウドとは雲のことです。インターネットという空に浮かぶ雲、すなわちネットに接続されたサーバー群、そのネットワーク自体を一つのコンピュータとして考えることを、クラウドコンピュータといいます。また、クラウド上のアプリケーションを使わせることをSaaS(ソフトウェア アズ ア サービス)といいます。
Web2.0という環境変化は、このSaaSの一般認知でいったん完了したといっていいでしょう。そして、クラウドコンピューティングという、OS自体もデータベースもすべてクラウド上に置いてしまうという新しい環境変化こそが、ポストWeb2.0時代の幕開けになったといいと思います。この分野の現時点の強者はアマゾンとGoogle、またはセールスフォースであり、そこにマイクロソフトを始めとする、レガシーなIT企業群が追いかけているという状態です。
さて、もう一つの特徴である”超新鮮なWeb(The Super Fresh Web)”について話します。
Web2.0のトレンドが誰の目にも明らかになってきていた2006年7月に、Twitterはサービスを開始しています。ポストWeb2.0とは、Web2.0のトレンドの延長線にありますが、ひたすらリアルとWebの境界線が曖昧になる世界といっていいでしょう。つまりそれが”超新鮮なWeb(The Super Fresh Web)”なのですが、この言葉はTwitterの創業者の一人であるビズ・ストーンのものです。
現在世界最強のインターネット企業であるGoogleは、創業当初からWeb上にあるすべての情報を整理するというミッションを掲げています。しかし、いまWebにあるものだけを検索できても片手落ちです。そこで、彼らは世界中にある”非デジタル”な情報をWebに置き換える努力をし始めたわけです。つまり、GoogleはリアルからWebのインターフェイスになろうとしているわけで、まさにリアル社会のクラウド化を行おうとしています。
ところが、そのGoolgeの想いをよそに、リアルからWebのインターフェイスとして急浮上し始めた企業がTwitterなのです。
Twitterは2009年に入って急速な成長をとげ、少なくとも人間の感情、社会の出来事の記録のWeb化に関しては、明らかに世界一速い企業です。Twitterのおかげで、世界のどこかで起きた事件は即座にWebにアップロードされます。結果として、いまのWebは常に新鮮な状態になっています。Twitterはいってみれば(ビズ・ストーンに言わせれば)超新鮮なWebへの情報提供者なのです。
しかし、The Super Fresh WebへのインターフェイスはTwitterだけではありません。TwitpicはiPhone+Twitterの組み合わせによって画像をアップするインターフェイスとしてFlickrを抜き、Ustreamも同じくiPhone+Twitterの相性のよさから動画をWebにアップするインターフェイスとしてYouTubeを脅かし始めています。
ポストWeb2.0の世界を考えるにあたって、クラウドとThe Super Fresh Webは強い相互関係を持ちながら具体化していくことを意識しておく必要があります。
ソーシャルメディアマーケティングを、単に社会論的な考え方、あるいは技術的な論点からの一方で語ることは間違いです。
難しいことですが、複合的な観点で、包括的に、今後もその在り方を論じていきたいと思います。