腰の重い行政の動かし方 ~例えば、家庭内暴力や虐待に遭ったら --- おときた 駿

アゴラ

1月は様々な新年会でご意見をいただける機会が多いわけですが、本日はたまたま似たようなご相談・疑問を複数ぶつけられました。それは

「精神疾患などがあって家庭内暴力を振るう人がいるが、
 他人が来ると大人しくなるので警察・保健所など行政が対応してくれない」
「虐待と疑わしい事実があっても、児童相談所がなかなか動いてくれない」

というものです。実際、精神疾患で家庭内暴力が絶えない息子に対して行政が対応できず、実の父親が他の家族を守るために殺害まで及んだ事件も過去にあります。


「妻と娘を守る義務がある」 三男殺害、父への判決:朝日新聞デジタル

さて、こうした事例に何か打てる手はあったのでしょうか? 身近な政治家に相談したところで、劇的に状況が変わるとも思えません。
(変わる場合もありますけど)

もちろんすべてのケースに当てはまるわけではありませんが、議員として行政の対応を見てきた立場から、私なりの一つの見解を申し述べたいと思います。

行政の基本スタンスは、「失敗しないこと(消極性)」です。実際、精神疾患や家庭内暴力を理由にありもしない事実をでっち上げて、身内を精神病院に措置入院させようとするとんでもない輩も存在します。

ゆえに、行政が強制的な対応に極めて慎重になるのは、ある意味では「仕方のないこと」でもあるのです。

では、どうするか。行政側が動く充分なエビデンス(証拠、根拠)を用意することです。具体的には、

・暴力や罵声などの現場をこっそり録音、録画する
・怪我や破損については診断書など、すべて記録を取っておく
・デジタル機器がなければ、事実を欠かさずノートに日付入りで記載しておく

「私も〇〇さんもこの目で見て、何度も訴えてるのに、まったく対応してもらえない!」

こうしたケースで一番多いのは、やっぱり明確な物証がないことなんです。

現実に悪意のあるモンスタークレーマーがいる以上、涙ながらの訴えだけではなかなか行政側は強制措置に踏み切れないのも事実です。

昔なら録音や録画にはかなり高いハードルがありましたが、今なら携帯電話・スマートフォンでバレないように記録することはかなり容易になりました。

それでも難しい場合、詳細にノートなどに記録を自筆で取っておくことも充分に裁判で証拠になる=行政を動かす推進力になりえます。被害者が小さな児童の場合、なかなか難しいのですけども。。

こうしたエビデンスを複数用意したうえで、それでも行政の腰が重いようでしたら、いよいよ政治家の出番かもしれません。充分な根拠を元に、議員が後押しをすれば、行政が動く確率は格段に高くなります

「自分たちは被害者なのに、そこまでしないと正義は実現されないのか!」

と感じる方も多いかと思います。しかし、これも一つの厳しい現実として存在するのです。弁護士に相談できるような人ばかりでもありませんしね。。

状況によって実施できるケースであれば、参考にしていただければ幸いです。もちろん、実際に被害に遭われている、知り合いが困っているという方がいれば、自分自身はいつでも相談に乗る所存です。少なくとも、東京都内であればお役に立てるはず。

それでは、また明日。

おときた 駿
◼︎おときた駿プロフィール
東京都議会議員(北区選出)/北区出身 31歳
1983年生まれ。早稲田大学政治経済学部を卒業後、LVMHモエヘネシー・ルイヴィトンで7年間のビジネス経験を経て、現在東京都議会議員一期目。ネットを中心に積極的な情報発信を行い、地方議員トップブロガーとして活動中。

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編集部より:この記事は都議会議員、おときた駿氏のブログ2015年1月14日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださったおときた氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はおときた駿ブログをご覧ください。