福武財団の方に御案内いただき、久しぶりに直島(香川県)を訪問しました。
日本で初めて国立公園に認定された瀬戸内。ところが、乱開発や産業廃棄物などによりその「美」が壊されているのではないか。
ベネッセアート直島は、ベネッセ創業家・福武総一郎氏の「怒り」から始まったという。
20年前は、中央集権や経済成長を今よりも強く求めていた時代。島でアートというのは、十分に理解されなかったというが、大胆で、地道で、かつ芯(理念)がある活動は、じょじょに評価されていく。まずは海外から。ドバイ、ニューヨークなどともに世界で行きたい7つの場所に選定された。そして、地元の意識も変わっていく。
2015年にオープンした直島町の町民会館(直島ホール)。
犬島精錬所美術館の三分一博志氏の設計。
集落全体の地形や、そこに吹く風の流れ、ため池からかつての棚田、水路、入掘、井戸に流れる水脈等を徹底して調査する中で、人工的なエネルギーを使わない建物が完成。
本村を流れる風はその屋根を通して建築内部の空気循環に活かされ、直島に風が吹いている限りはホール内の空気が巡る仕組みだ。
これまで田舎の公共建築は、補助金を取ることが目的になり、風景に合わず、堅牢で、重厚長大で、結果として居心地が良くない建物が少なくなかった。
その対比を踏まえると、直島ホールの良さは際立つ。圧倒的に美しいし、風景とも調和している。国際的な評価も高い。雑誌・Wallpaperが主催するDesign Awards 2017のBest new public building部門にて最高賞を受賞。国内の公共建築では初の受賞という。
デザイン&ストーリー列車「ななつ星」のデザイナー水戸岡鋭治さんは、「美しい公共空間の必要性」をいつも力説されるが、直島ホールを日常的に使う子供や大人はどう育つのか。何が、ここから生まれてくるのか。とても楽しみだ。また足を運んでみたい。
<井上貴至 プロフィール>
<井上貴至の働き方・公私一致>
東京大学校友会ニュース「社会課題に挑戦する卒業生たち」
学生・卒業生への熱いメッセージです!
<井上貴至の提言>
間抜けな行政に、旬の秋刀魚を!
編集部より:この記事は、井上貴至氏のブログ 2018年2月14日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は井上氏のブログ『井上貴至の地域づくりは楽しい』をご覧ください。