何とか穏便に憲法改正の発議に持って行きたいと思っていた方々にとっては、厄介な事態になったと思っている。
まるで「安倍内閣における憲法改正には絶対反対」派の方々にエールを送るようなものだ。
これは反対険のガス抜きにもならない、悪手になるかも知れないぞ、と思っているのだが、国会議員の任期延長ぐらいではとても国民の納得は得られない、という声の方が自民党の中では大きそうだ。
大まかな方向性を示すだけの粗粗な文章だけ用意するか、などと細田さん辺りは考えておられるのではないだろうか。
まあ、どういう条文を用意したとしても公明党がこれに乗ってくるとは思えないし、憲法改正反対派の方々の結束はこれで益々固くなるはずだ。
憲法改正実現に向けてのハードルを上げることによって反って反対派との間の取引材料や交渉材料を増やそうという深謀遠慮に出たものかも知れないが、この段階での国家緊急権への言及は、憲法改正の発議への道のりを一気に悪路に変えてしまう、と考えるのが普通である。
安倍さんは、そこまでは欲していないはずである。
国家緊急兼条項を必要とするのは、大体は普通の方法では多数派にはなれない人たち。法の力で無理を通そうとする人たち。
まあ、実に危うい。
国家緊急権条項が入った憲法改正案が発議されたら、護憲的改憲派を標榜している私も反対せざるを得なくなるだろう。
お止めになった方がいい。
編集部より:この記事は、弁護士・元衆議院議員、早川忠孝氏のブログ 2018年3月6日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は早川氏の公式ブログ「早川忠孝の一念発起・日々新たに」をご覧ください。