中国政府は米通商法301条に基づいた対中制裁に報復する意向を示し、米国を強くけん制した。崔天凱・駐米大使は23日に米国債の購入減額について「あらゆる選択肢を検討している」と含みを持たせた。つまり、報復措置として米国債の購入を減額するなどの手段を講じる可能性を示した。
現実に中国が政治目的で米国債の購入を減額することが可能なのかはさておき、米財務省が公表している米国債国別保有残高(MAJOR FOREIGN HOLDERS OF TREASURY SECURITIES)をもとに、中国などによる米国債の保有状況を確認してみたい。
これによると、昨年1月の国別の米国債保有高のトップは引き続き中国となっている。1月時点の中国の米国債保有額は1兆1682億ドルとなり、昨年12月に比べて167億ドル減少していた。1月に中国当局が米国債の購入縮小もしくは停止を検討していると報じられた。その影響かとの見方ができるかのような数字ながらも、その後中国当局が米国債購入の縮小または停止を検討しているとの報道は否定している。中国人民銀行によると、2月末の外貨準備高は13か月ぶりに減少していたこともあり、この1月に関しては意図的に減らしていたわけではないと思われる。
これに対して今回も2位となっていた日本は1月の米国債保有額は1兆658億ドルとなり、前月比では43億ドルの増加となっていた。これにより中国との保有額との差が12月末に比べて縮小した。
単位、10億ドル、()内は前年比増減
中国(China, Mainland)1168.2、-16.7
日本(Japan)1065.8、+4.3
アイルランド(Ireland)327.5、+1
ブラジル(Brazil)265.7、+8.9
スイス(Switzerland)251.1、+1.5
英国(United Kingdom)243.3、-6.7
ケイマン諸島(Cayman Islands )241.9、-3.9
ルクセンブルグ(Luxembourg )220.9、+3.3
香港(Hong Kong)194.1、-0.6
台湾(Taiwan)175.4、-5.5
中国と日本の2強に変化はないが、12月に比べてそれ以外の順位が多少入れ替わっている。外為市場などの影響とともに、年末要因等によるものと思われる。
編集部より:この記事は、久保田博幸氏のブログ「牛さん熊さんブログ」2018年3月29日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。