希望の党と民進党が合流して「国民民主党」(国民党)が、連休明けに結成される。支持率は両党あわせて2%に満たない「弱者連合」だが、その綱領は「憲法違反の安保法制の白紙撤回」や「解釈改憲を許さない」など、立憲民主党に近づいている。
希望の党は昨年(2017年)9月、憲法論議に明け暮れた民進党が「現実的な野党」への変身をはかって結成した党だが、それが1年も経たないで昔の護憲政党に逆戻りだ。なぜ野党はこんなに護憲にこだわるのだろうか。
護憲は野党の唯一の「最大公約数」
国民党の経済政策は「再分配重視」を言う程度で、安倍政権と変わらない。いま選挙で自民党か野党かを選ぶとき、経済政策で選ぶ有権者はいないだろう。
2009年のように世界金融危機の渦中にあったときは、自民党と違う経済政策で何とかしてほしいと思う人も多かったので政権交代が実現したが、今のように景気がいいときは野党は政策で攻めようがない。はっきり違うのは「2030年代に原発ゼロ」ぐらいだが、これも実現可能性はゼロだ。
そこで森友学園や加計学園のようなスキャンダルで与党を追及するが、この程度で政権は倒れない。そこで選挙が迫ると、各党が選挙協力するために一致できる「最大公約数」として、憲法が出てくる。
個々の野党議員に聞いても、本気で憲法を守ろうと考えている議員はほとんどいないが、それを除くと野党には何も残らない。つまり護憲は自民党ではない党の唯一の存在理由なのだ。