日銀は6月20日に資金循環統計(1~3月期速報値)を発表した。これによると個人の金融資産は3月末時点で約1829兆円となり、株価の上昇傾向などを背景に過去最高を更新した12月末時点からは減少した。12月末比でみると1月から3月にかけて日経平均は下落しており、その影響を受けたとみられる。個人の金融資産の内訳は、現金・預金が前年比で2.3%増の約961兆円となった。株式等が同11.7%増の約199兆円、投資信託も1.4%増の約73兆円となっていた。
この資金循環統計を基に国債(短期債除く)の保有者別の内訳を算出してみた。
残高トップの日銀の国債保有残高は437兆2791億円、43.9%のシェアとなった。前期比(速報値)からは10兆435億円の増加となる。
残高2位の保険・年金基金は236兆4565億円(23.7%)、2兆8786億円増。
残高3位は預金取扱機関(都銀や地銀など)で171兆2825億円(17.2%)、5兆193億円増。
残高4位が海外投資家で59兆5311億円(6.0%)、2737億円減。
残高5位が公的年金の46兆8859億円(4.7%)、1兆343億円増。
残高6位が家計の12兆3823億円(1.2%)、85億円減。
その他が31兆8632億円(3.2%)、11兆1856億円減となっていた。
2017年12月末に比べ国債(短期債除く)の残高は7兆5079億円増の995兆6806億円となった。短期債を除いた国債残高が1000兆円に迫っている。12月末に比べて大きく増加したのは、国債を大量に買い入れている日銀で、シェアは4割を上回っている。今回、前期比で大きく減少したのはその他の11兆1856億円減となった。内訳で見るとディーラー・プローカーが11兆3913億円の減少となっていた。
短期債を含めた国債全体の数字でみると残高は約1097兆円となり、日銀が約459兆円で41.8%のシェアとなっていた。海外勢の残高は約120兆円と短期債を含めると国債全体の10.9%のシェアとなっていた。海外の長期債保有が減少しており、こちらの今後の動向にも注意したい。
編集部より:この記事は、久保田博幸氏のブログ「牛さん熊さんブログ」2018年6月28日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。