NHKクールジャパン「忍者」の巻。
赤坂の忍者レストランにはぼくも外国人を連れて行ったことがありますが、忍者って外国人観光客を誘致できる新しいクールとして改めて見直されています。強いし、カッコいいし、ミステリアス。くすぐるんですよね。ぼくが提案したテーマです。
「忍者イベント」
忍者を盛り上げるため、もともと敵同士だった忍者も団結しようよってことになって、日本忍者協議会っていうのを2015年に作りました。ゆかりがある5県と、伊賀や甲賀といった都市が手を組んで、海外にアピール。ぼくも参加してます。
「忍者修行」
伊賀市にある「伊賀流忍者博物館」を訪れる外国人観光客は10年で5倍も増えました。きれいな観光地を見てもらうとか、おいしいものを食べられるというレベルを超えて、忍者修行のようにコアな体験ができるようなコトづくりの観光戦略が大事になっています。
「忍者マンガ」
忍者は単なる空想のヒーローじゃなくて、歴史の中で実際に存在しました。だからマンガも、闘いだけじゃなくて、歴史との関わりとか、人間くさいドラマとか、深みがある。幅も広い。カムイ伝のようなシリアスなものもあれば、忍たま乱太郎のような愉快なものもあります。読んでね!
■
「刃物」の巻。
和服で外国に行くと、入国審査でよく刀持ってるかと聞かれます。それじゃ飛行機乗れないでしょ、と思うんですが、それほど日本と刀はセットのイメージ。それが最近、包丁とか、爪切りとか、日本の刃物がみやげの定番になってる。どういうことですかね。
「和包丁の多様さ」
美しく切る。日本料理は美しさを重んじるが、見た目だけでなくて、美しい切り身の刺し身は細胞が潰れていないので、食べてもおいしい。いろんな魚や野菜の切り方や捌き方があって、包丁は素材や料理ごとに美味しく切るために進化してきたので、種類も多くなったんです。
「包丁供養は不思議」
モノに魂が宿る、というのは日本独特な考え方ですが、特に、包丁のように長年使うもの、手に馴染んだものは、体の延長のように感じるんでしょう。
「先端ハサミ職人のスゴさ」
世界の外科医が15年辛抱して1つの技を究める一人の職人の腕に頼っている。世間から認知されなくても医者が分かってくれれば、という職人気質。でも日本では、子どものなりたい職業の上位に職人が入ります。手を動かして「作る」ことの価値が認められているんです。
「日本で製造するドイツの刃物会社」
金属を溶かして、打って、といで、芸術品のような刃物に鍛えあげるのは、日本人のストイックさに支えられた職人技。それが海外のマーケティングや経営と連携することで産まれるものって、刃物以外にもいろいろあるはず。
刃物って無機質だけど、食文化とか、職人気質とか、技術とか、いろんなものが詰まっていて、その全体が外国人に評価されてるんだな、ということがわかりました。大事に扱いましょう。
編集部より:このブログは「中村伊知哉氏のブログ」2018年8月9日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はIchiya Nakamuraをご覧ください。