なぜ男は会話中に「上の空」になるのか?男性脳の仕組み!

尾藤 克之

画像は書籍書影(筆者撮影)

ビジネス心理学をご存知だろうか。よく知られているものに、アサーティブ、フレーミング、バーナム効果、コールドリーディングなどがある。心理学は「人問心理を解き明かすもの」だが、知っているだけでは役にたたない。大事な場面で、「使える」という実践的なレベルにまで高めておかないと、中途半端な知識で終わってしまう。

今回は『モテすぎて中毒になる男女の心理学』(すばる舎)を紹介したい。著者は、神岡真司さん、累計140万部を超すビジネス心理学の専門家として知られている。主要著書としては、30万部ベストセラー『ヤバい心理学』(日文新書)がある。

男は、なぜ突然「黙り込む」のか?

――男性と会話している最中に、男性が突然黙り込んだという経験をお持ちの女性は多いのではないか。しかし、気づいていないこともある。女性のほうは、男性に向かってそのまま話し続けることが多いからである。次の会話を見てもらいたい。

--ここから--
女性「ねえ、そう思わない?だってそうじゃない?」
男性「・・・・・」
女性「思ったんだけど、あの人が最初に言ってくれてれぱよかったのよね?」
男性「・・・・・」
女性「そうでしょう?ねえ、あたしの考えのほうが当たってると思わない?」
男性「・・・・・」
女性「ねえ、どうしたの?気分でも悪いの?ねえ、どうしたのよ、返事してよ!」
男性「・・・ああ、大丈夫。気分は悪くないよ~」
女性「私がいってること、変じゃないでしょ?」
男性「ん、まあ~そうかもしれないねぇ」
--ここまで--

「男性はこんなふうに、貝が殼を閉じるように黙り込むことがあります。女性との会話中でも、何かを思いつくと、それについて考えないと落ち着かず、1人の世界に没頭するのです。女性との会話は上の空ですが、別段、女性に悪気があるわけではないのです。ふと、何かを考え込んでしまった。ただそれだけのことなのです。」(神岡さん)

「なぜ、男性がこうなるかといえば、『モノタスク』の脳だからです。何かで気をとられると、そのことだけに、思考を集中せざるをえないからです。では、男性が突然、殼を閉じたように黙り込んでしまった時、女性はどうすればいいでしょう。次の、A.B.C.の3つから選んでみてください。」(同)

<読者の皆さまも一緒にお考え下さい>
A.構わずに自分の話を一方的に続ける。
B.自分の問いかけへの返事を催促する。
C.何を考え込んでいるのか問いただす。

――神岡さんは、いずれの対応も好ましくないと解説する。正解は、「しばし放っておくこと」。理由は、男性が、何かのことで、考えを集中しはじめたら、それ以外のことを考えられなくなるから、返事を求めたりなにかを催促しても得策ではない。

男性への最高のおもてなしとは

「男性は、自分一人で物事を考え、結論を導こうとする習性があります。女性から、何を考えているのか問いただされるのは、自分の世界への侵入を試みられていますから、なおさら殼に閉じこもりたくさせるのです。こんな時、女性は、女性同士の時のように、習慣で共感的に接しようとするものです。例えば次のような具合です。」(神岡さん)

「『何か心配事でもあるの?ねえ、あたしにも話してよ!』。男性には、こうした問いかけは、『あなたが頼りないなら、私か助言してあげるよ』と聞こえます。男性にとっては、プライドを傷つけられる女性の対応になってしまうのです。男性は、基本的に他人からのアドバイスは、自分が求めた時にしか、参考にしようとは思いません。」(同)

――つまり、男性は、プライドの高い生き物ということ。考え事で黙り込んだ時に、アレコレ邪魔をされるとウザイと思うようになる。男性が黙り込んだ時は、放っておくことが男性への最高のおもてなしになるのでぜひ参考にしてもらいたい。

本書は、男女の関係に特化した心理テクニックが紹介されている。 恋愛、夫婦問題、仕事のベースも人間関係によるもの。面倒な異性を黙らせ、社内で評価されるには心理学を理解しておきたい。心当たりのある方には早めの処方をおすすめする。

尾藤克之
コラムニスト