こんにちは、都議会議員(北区選出)のおときた駿です。
一昨日はオリパラ特別委員会が行われ、私も質疑に立ちました。本日はそのうちの一つ「チケット販売方法問題」について解説します。
7月末にはオリンピック、そして今月はパラリンピックの公式チケット概要(値段・販売方法等)が発表されました。
●東京2020オリンピック競技大会公式チケット概要の公表について
●東京2020パラリンピック競技大会公式チケット概要の公表について
オリンピックは2019年春から、パラリンピックは2019年夏から公式サイトで販売開始となります。
しかしながら、その購入方法が…2020年まではネットのみとなっているんですね。
私は行政手続きを含めて、将来的にはすべて手続きがオンライン上で完結されることを期待し、推進する立場の人間です。
その私から見ても、チケット販売が「ネットのみ」に限られるというのは公平性とアクセシビリティの観点から問題があり、時期尚早ではないかと思います。
近年、インターネットをまったく使わないという人は少なくなってきていますが、高齢者を中心にまだまだ存在します。
(総務省・平成29年通信利用動向調査より抜粋)
ネットを使う人は全体平均で約8割に留まり、特に70代・80代はネットを使わない(使えない)人が過半数を超えています。
さらにこれは視覚障害を中心とする、ハンディキャップを持つ人たちの機会損失にもつながります。
こちらも総務省の調査(障がいのある方々のインターネット等の利用に関する調査研究)によれば、例えば視覚障害者のパソコン利用率は86.2%であり、オンライン販売では購入にたどり着けない人たちが確実に発生します。
さらに「インターネット利用経験のある視覚障害への、インターネット調査」という民間調査では、「欲しかった情報が見られなかったり、手続きが最後までできなかった経験がある」が75.7%、全盲者においては「よくある」と「たまにある」の合計が9割を超えています。
残念ながらネット販売だけでは、高齢者・障害者に対して対応が不十分であることは明らかです。
もちろんネット販売のほうが本人確認がしやすく、転売防止策などが取りやすい利点はあるかと思いますが、いずれにせよ2020年に対面によるチケット販売所を設けるのであれば効果は限られ、それまでをネット販売に限る理由に整合性が取れません。
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以上の理由から、ネット販売以外のチャネルを最初から用意すべきだと質疑したところ、以下のような答弁が返ってきました。
○ インターネットでの購入に不慣れな方や障害のある方などのために、組織委員会は、イベント等でのブースで案内を行うことや、コールセンターでのサポートなども含め、具体的な対応策を検討するとしている。○ また、組織委員会は、2020年には、インターネットを介さず対面で購入できる公式チケット販売所をオープンするとしている。
○ さらに、障害をお持ちの方は、家族や介助者と一緒に来場することが多いと想定されることから、組織委員会は開閉会式を含む全競技にグループ向けチケットを設定することとしており、この企画チケットは、子供やご年配の方を含むグループも対象としている。
○ 都としても、さまざまな広報媒体を通じ丁寧な情報提供に努めるなど、障害のある方なども含め、競技等をご覧いただける機会が提供されるよう、取り組んでいく。
…基本的には「情報提供とかはやるけど、ネット販売以外のチャネルは用意しません」というゼロ回答なのですが、とりわけ問題だと思うのは太字にした部分です。
家族や介助者と一緒に来場することが多いと想定しているとのことで、ハンディキャップのある方が自主的にチケットを購入することをなかば諦めている姿勢が感じられます。
これは「アクセシビリティ・ガイドライン」や「障害者の自立」の趣旨に真っ向から反する態度です。
むしろ他の点では過剰なほど書類や対面ベースでの手続きが中心になっており、都が主催するイベントはほぼ必ず電話やFAXなどでも申し込みができる(逆にネットではできない)にもかかわらず、国民的関心が特に高いオリンピック・パラリンピックにおいて逆に購入方法がネットに限られるということには、大きな疑問が残ると言わざるを得ません。
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やはり2020年にはオープンされる予定の対面のチケット販売所、あるいはコールセンターなどを事前販売の段階から用意すべきではないでしょうか。
この点について私も引き続き提案を行っていきますが、皆さまからもご意見を届けていただければ幸いです。
それでは、また明日。
編集部より:この記事は東京都議会議員、音喜多駿氏(北区選出、かがやけ Tokyo)のブログ2018年8月30日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はおときた駿ブログをご覧ください。