不安なキャリア!個人の働き方改革を実現したいと思ったら

尾藤 克之

日本は超少子高齢化の道を歩んでおり、2040年には3人に1人が60歳以上になると言われている。ビジネスパーソンのキャリアプランは崩壊しつつあり将来のパスが見えにくい。このまま会社員をやっていても先が見えにくいと考えている人も少なくない。私たちは、はたして、いま何を考えて何をすべきなのか。

本日は、『自分を最高値で売る方法』(クロスメディア・パブリッシング)を紹介したい。著者は、小林正弥さん。個人が収入を最大化する『働き方革命』がテーマである。

画像は筆者撮影による

会社で大した付加価値は身につかない

小林さんは、人材育成の内製化コンサルティングをしていた時、組織拡大を目指す経営者と議論を経て、どうしたら事業が伸びるのか回答を得たことがあるそうだ。

「それは、3流の人が最速で1流の仕事ができるようになる、ビジネスパッケージと人材育成の仕組みをセットでつくることです。以来、経営者から、新入社員が3ヶ月で売上目標を達成できる仕組みをつくってほしいという課題を一緒に解決してきました。その結果、わかったことがあります。普通の会社員に年収1000万円も払う必要はない、ということです。誰でもできる仕組みをつくっているので替えが効きます。替え効く場所で働いていても年収1000万円を得ることはほぼ無意味なのです。」(小林さん)

「代わりの効かない『仕事(価値)を創る人』にならない限り、1つの会社で年収1000万円を頂くことは難しい。ましてや、時間の自由を手に入れることは不可能です。一般的な企業に勤めている限り、お金と時間の自由を得られるだけの価値を磨くことは難しい。しかも、仕事のライフサイクルがどんどん短くなっているし、標準化された仕事はAIやロボット、アウトソーシングに置きかわっています。」(同)

実際、多くの会社では、スピーディーに仕事を標準化し、アウトソースの会社に振り分けている。仕組みの中で働くだけのビジネスパーソンは、年収の現状維持どころか、どんどん待遇は悪くなることになる。年収は一緒でも労働時間が増えるなら、あなたの労働生産性(時間あたりに生み出すお金)は下がっていると考えることができる。

「自分の付加価値をアップデートしていない人たちは、何年経っても年収が上がらず、より長時間労働になっています。会社が雇用し続けてくれればいいですが、いつリストラや派遣切り、アウトソーシングへの移行にあうかわからないでしょう。確かなのは、企業の寿命、商品の寿命はどんどん短くなっているということです。」(小林さん)

「あなたは携帯電話やパソコンをどれくらいの頻度で買い替えるでしょうか。2~3年で買い替える人が多いかと思います。そのことと同様で、あなたが今の職業で収入を得られるのは、あと2~3年かもしれないのです。例えば、データ入力や経理業務なんて数年後に人間の仕事として残っているでしょうか?」(同)

マインドセットには効果的な1冊

「どんなに一生懸命頑張っても、斜陽産業の既存の仕事だったら年収は上がる見込みは少ないでしょう。例えば、年々購読数が下がっている新聞の配達という仕事は、どんなに頑張っても収入が上がる材料がありません。生産性が低い仕事も年収は上がりません。例えばコールセンターの業務。アポインターは1時間あたりに対応できる電話数を極端には増やせないし、荷電の生産性が高くないので年収は上がりません。」(小林さん)

「むしろ電子版の普及もあり、人件費の安い途上国にどんどん仕事が移っています。しかも、人ではなくA1に仕事が移っていま。置かれた場所で頑張っても無理な場合があります。働き方の前提は、1人で無限に生産性を高めることができ、かつ働く場所の自由があることです。この2つがないと、お金と時間の両方の自由を得るのは難しいのです。」(同)

本書は、ビジネス系の自己啓発書になる。よって、スキルやテクニカルなものではなく、マインドが重視されている。この本を読んで明日から給料が上がるようなものではない。しかし、ビジネスの現状を見つめ直すことで、気づきを得ることはできる。

尾藤克之
コラムニスト

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