人類の健康への最大の脅威は何か

北京で大気汚染についての赤色警報が出された。これは国連の基準とする排出量25μg/m3の50倍を上回る。次の写真は、北京の「国貿大飯店」という高層ホテルのネオンサインだけが見え、建物がまったく見えない。

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WHOの推計によれば、世界の大気汚染による死者は、2012年には年間700万人と、新興国の経済成長で従来の2倍以上に増えた。世界の3大感染症の死者が年間430万人といわれているので、今や人類の健康への最大の脅威は、大気汚染である。図のように中国とインドが群を抜いているが、日本でも2万人以上が大気汚染による疾患で死亡している。

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大気汚染による死者(WHO推計)

カリフォルニア大バークレー校の調査結果では被害はさらに多く、中国だけで毎日4000人が大気汚染で死亡し、年間の死者は160万人にのぼる。その最大の原因は石炭火力発電だが、冬は暖房のために質の悪い石炭が燃やされるので、これから状況は悪化するとみられている。

原発による死者は50年間でチェルノブイリの60人(2008年国連調査)で、これより大きい数字としてはWHOが出した4000人という非公式の中間推計があるが、これを50年で割ったとしても年平均80人である。700万人と80人のどちらが人類の脅威かは、明らかだろう。「原発ゼロ」や「CO2ゼロ」を叫んでいるNGOは、まず「石炭ゼロ」をめざしたほうがいい。