今更で大変恐縮ですが、政府機関閉鎖に関するデータをご紹介します。
こうした状況下、パウエルFRB議長は9日の講演で懸念表明、「長期に及ぶ政府機関の閉鎖を我々は経験しておらず、(そうなれば影響は)経済指標に明確に現れるだろう」と発言しました。
ホワイトハウスも政府機関の閉鎖に伴う影響につき、2週間ごとに0.1%ポイントのマイナス→15日には0.13%ポイントのマイナスへ下方修正したといいます。
過去の影響をみると、政府機関の閉鎖の影響は限定的でしたよね。米経済分析局によれば、2013年の政府機関閉鎖では、連邦政府職員の無休状態などでQ4に0.3%ポイント下押しし、同年の成長率は1.8%にとどまったとはいえ、翌年には2.5%へ改善していたものです。
では、今回はどうか。一部のエコノミストは、政府機関の閉鎖インパクトにつき1週間に0.1~0.2%ポイントの下押しと試算しています。当然ながら、強気なホワイトハウスの見通しより慎重でした。以下は、エコノミストの予想です。
・JPモルガン
→2019Q1の成長見通しを2.25%から2.0%へ下方修正、ダイモンCEOは決算発表後のカンファレンスコールで「米政府閉鎖が長引けば、ゼロ成長の恐れも」と発言。
・バンク・オブ・アメリカ
→2018Q4の成長見通しを2.9%から2.8%へ下方修正、2019Q1も2.2%へ引き下げ、一段の修正余地を示唆。
・ウエルズファーゴ
→フードスタンプの支給停止による生活必需品の売上鈍化、連邦職員の無休継続で裁量消費財の支出が縮小も。
・ノースウエスタン大学
→2013年の政府機関閉鎖により、無給勤務や一時帰休となった連邦政府職員の支出減が影響し個人消費を10~15%下押し
こうした予想に現実味を加えるように、決算発表でもインパクトが現れています。デルタ航空は政府機関の閉鎖を受けて値上げが困難となり、旅行需要にも打撃と指摘しただけでなく、業績圧迫要因として挙げ今月だけで収入を2,500万ドル押し下げると予想していました。
米企業は、米中通商協議の行方が不透明ななかで政府機関の閉鎖という二重苦に直面しています。こちらで指摘したように消費財関連などを中心に業績見通しの下方修正が相次いでも、おかしくありません。
1月28日からの納税申告受付と税還付開始を発表した内国歳入庁(IRS)の職員についても、疑問が残ります。15日付けのリリースによれば、当初の稼働率12%から直近の呼び戻しに伴い57.4%まで回復するとは公表していたものの、無給では本当に復帰するかも未知数で、IRS自体が税還付の遅れに言及するほど。足元で底堅い米株相場、悪材料を織り込み済みであればよいのですが。
(カバー写真:Marco Verch/Flickr)
編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2019年1月16日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。