菅原経産相:偉くなる人は、お線香や香典にも注意しましょうね

違反と言えば違反ではあるが、こういう些細なことまで罰則でもって禁止しようとする公職選挙法にも問題がある。

秘書が選挙区内の通夜で香典を渡した疑惑が報じられている菅原一秀経産相(ツイッターより:編集部)

本人が持参すればお咎めなしだが、本人以上に故人と密接な関係にあった秘書が本人に代わって香典を持って行ったらアウトだ、などというルールは一般の方にはなかなか呑み込めないだろう。

公職に就くと、同時に複数の会合に呼ばれたり、様々な行事に出席しなければならない場合がある。
それぞれに礼を尽くさなければならない時には、どうしても代理を立てなければならないことにもなる。

後援会長の葬式と公務が重なった時は、当然公務用務を優先する。
ごくごく親しい友人の葬式も然り。
時には身内の不幸の場合も、他人には一切言わず、公務を優先する。

公務を優先するのが、大方の国会議員の常識だろうと思う。

最近は育児休暇の取得を考えておられるニュー国会議員の方々も増えているようだから、永田町の常識も徐々に変わりつつあるが、大体の国会議員は常に公務ファーストだろうと思っている。

某大臣が秘書に香典を届けさせた、ということが大問題になりかかっているが、こういう形態が本当に選挙人買収に当たるのかどうかということはよく考えた方がいい。
形式的には有権者に対する金銭供与には当たるが、実質は通常の社会的儀礼の範囲内で、受領者の投票意思をまったく左右する可能性が認められない態様での金銭許与だろう、というのが私の考えである。

もっとも、取り締まり当局がどのように判断し、どのように取り扱うか分からないので、弁護士としてのアドバイスは、危なそうなことはお止めなさい、ということになるのだが・・。

いずれ公職選挙法の罰則規定は見直した方がいいな、というのが私の現時点での感想である。
ご参考までに。


編集部より:この記事は、弁護士・元衆議院議員、早川忠孝氏のブログ 2019年10月24日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は早川氏の公式ブログ「早川忠孝の一念発起・日々新たに」をご覧ください。