通信と放送の融合。
放送の電波に通信プロトコルIPを乗せる「IPDC」を10年前から推進してきました。
「IPDCフォーラム」がこのほどV-High帯における特定実験試験局免許を取得しました。
この免許を活用し、IPDC 実証実験を 2021 年 3 月まで行います。
放送のユースケースを開発し、放送事業者による新しいビジネスモデルを探ります。
IPDCフォーラムはぼくが代表を務め、顧問に村井純さん、メンバーは放送局、メーカー、広告、ソフトウェア、通信社など38社から成り立っています。
https://www.ipdcforum.org/
V-Highは地デジ整備で空いたかつてのTV用周波数帯で、その後NOTTVが使っていましたが、事業撤退に伴い空き地になっていたもの。
実験はポップ・テック特区CiPの東京港区竹芝地区で行います。竹芝CiPは電波特区を標榜するなどAI・IoTはじめ先端技術を集積的に実装することとしており、まずはIPDCでIoT放送を実装するものです。世界初の試みとなります。
http://takeshiba.org/
放送波にIP 信号を重畳させ、全国津々浦々に整備されてきた放送網を活用して、スマホやパソコン、あるいはIoT デバイスに向けて、様々な情報やIoT制御情報を送る仕掛けです。
放送の一斉同報性、大多数への同時接続性を活かし、都市部でもローカルでも、通信を活用するよりも安価に、しかも通信特有の輻輳等の問題もなく、IP 化された情報を確実に届けることを可能とする技術。一部の放送事業者が導入しています。
今回、東京大学情報の中尾研究室の協力のもとに、V-High帯の受信機にBluetoothを乗せ、放送経由で届いたIP情報をBluetoothプッシュでスマホ、パソコン、IoTデバイスなどに届ける仕組みを構築しました。
先ずは防災減災分野での活用を想定します。テレビやラジオでは届けきれない詳細な情報、地域に特化した情報などを、放送波を活用してスマホやIP デバイスに届け、放送を補完するユースケースを開拓します。
徳島県阿南市において「あなん先進的防災・防犯システム検討委員会」の協力、四国放送の参加のもと、スマホやIoT機器向けの放送を今回のシステムで実現し、避難誘導などの実現に役立てます。
IPDCフォーラムでは、防災減災分野以外でも、放送波によるロボット制御、ローカル5G連携などさまざまな実証実験を計画しています。竹芝CiPは来年7月に街開きで、さらに実験場所は関東圏のみならず、近畿圏、四国圏等への拡大も行う予定です。
幕張メッセで開催される InterBEE2019の会場では、今回準備している実験システム(送出機並びに開発している受信機)の展示を予定をしています。 詳細はそちらでご説明できるようにしますので、ぜひご来場ください。
なお、総務省から電波利用料300円の請求が来ておりました。
請求、はえーな。
いえ、払います払います。
編集部より:このブログは「中村伊知哉氏のブログ」2019年11月21日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はIchiya Nakamuraをご覧ください。