桜を見る会:野党側の「疑惑追及」は完全に失敗
安倍首相主催の「桜を見る会」に対して、立憲、国民、共産などの野党各党は、議員80名からなる「桜を見る会:追及本部」なるものを立ち上げ、山口県への現地聞き取り調査など、約1か月間にわたり、安倍政権による公的行事の「私物化疑惑」、買収・寄付など「公職選挙法違反疑惑」、無銭飲食・違法献金・不記載など「政治資金規正法違反疑惑」、贈収賄など「刑法違反疑惑」、さらには、「反社・違法企業代表者招待疑惑」、「招待者名簿廃棄疑惑」などを次から次へと徹底追及してきた。
しかしながら、野党側が、安倍政権を攻撃するための、上記の数多くの「疑惑」なるものは、それぞれについて、その「違法性」や「犯罪性」を証明するに足りる事実も証拠も存在しないため、野党側による「疑惑追及」は完全に失敗に終わったと言える。
架空の「疑惑」を作り過ぎた野党側の「疑惑追及」
これまでの野党側の「疑惑追及」を見てみると、ひたすら「安倍政権打倒」のためには手段を選ばず、確たる証拠もなく、悪意の推測に推測を重ね、架空の「疑惑」を作り過ぎ、拡散させ過ぎたと言える。
最初は「桜を見る会の公金による私物化疑惑」に始まり、その違法性や、公職選挙法違反(買収・寄付)が到底証明不可能となるや、今度は「前夜祭」(夕食会)をやり玉にあげ、一流ホテルの会費5000円は安すぎる、安倍事務所側が「補填」した可能性があり、公職選挙法違反(寄付)に該当すると安倍政権を攻撃した。
しかし、会費が安すぎるという「会費5000円疑惑」が到底証明不可能となるや、今度は、ホテル側が会費を領収せずに事前に領収書を発行することはあり得ないから、安倍事務所側がホテル側に事前に支払った可能性があり、政治資金規正法違反(不記載)に該当する、さらに、安倍事務所による会費の集金は「収入」に該当し、政治資金規正法違反(不記載)に該当する、などと野党側は安倍政権を攻撃するに至った。
さらに挙句の果ては、安倍首相や安倍夫人などが「前夜祭」の会費をホテル側に支払っていなければ、「無銭飲食」(刑法犯)に該当するのみならず、無銭飲食分をホテル側が負担しておれば、「寄付」、「違法献金」、「贈賄」に該当し、公職選挙法違反、政治資金規正法違反、刑法違反の「疑惑」がある、などと野党側は安倍政権を攻撃した。
しかしながら、野党側は、これらの「疑惑」がいずれも到底証明不可能となるや、今度は「反社」「違法企業代表者」への「招待疑惑」を取り上げ、安倍政権を攻撃している。
確かに、「反社」や「違法企業代表者」の本件「桜を見る会」への招待は、「桜を見る会」の趣旨に反し、好ましくない。しかし、当該招待者の推薦者や、当該招待者を最終的に選定し取りまとめた内閣府において、「桜を見る会」への招待を宣伝等で「悪用」することまでも、あらかじめ認識していたことを証明するに足りる事実も証拠も存在しない。
したがって、当該招待者の推薦者や最終的に選定した内閣府には、法律上の「違法性」は認められない。
最後に、野党側は、政府による「招待者名簿」の「廃棄疑惑」を攻撃している。しかし、本件「招待者名簿」の廃棄は、いずれも「公文書管理法」に基づき、合法的に行われたものであり、特段の「違法性」は認められないと言うほかない。
結論:野党側の「疑惑追及」は完全に失敗
以上、述べた通り、野党側による、本件「桜を見る会」及び「前夜祭」に対する「疑惑追及」は、確たる証拠もなく、ひたすら「安倍政権打倒」のためには手段を選ばず、悪意の推測に推測を重ねた「架空の疑惑」を必死に「追及」しているに過ぎない。
公職選挙法違反、政治資金規正法違反、刑法違反などの「違法行為」や「犯罪行為」を証明するに足りる事実も証拠も存在せず、「桜を見る会」や「前夜祭」には、特段の「違法性」が存在しないことは、2019年11月30日付け「アゴラ」掲載拙稿「桜を見る会や前夜祭に特段の違法性は存在しない」で詳述した通りである。
野党側による本件「疑惑追及」は完全な失敗であると言うほかない。
加藤 成一(かとう せいいち)元弁護士(弁護士資格保有者)
神戸大学法学部卒業。司法試験及び国家公務員採用上級甲種法律職試験合格。最高裁判所司法研修所司法修習生終了。元日本弁護士連合会代議員。弁護士実務経験30年。ライフワークは外交安全保障研究。