こんにちは、音喜多駿(参議院議員 / 東京都選出)です。
地球温暖化対策を話し合うCOP25が終了し、小泉進次郎環境相の対応が話題を呼んでいます。
190を超える国と地域が参加して地球温暖化対策を話し合うCOP25。国連のグテーレス事務総長が各国に強く訴えたのは「石炭からの脱却」でした。そんな中、小泉環境相の演説を受けて、国連NGOのグループは温暖化対策に消極的な国に贈る「化石賞」に再び日本を選びました。https://t.co/KEmijQ8hXc pic.twitter.com/sPOOceJiKO
— NHKニュース (@nhk_news) December 13, 2019
小泉大臣は「驚きはない。受賞理由を聞いて私が演説で発信した効果だと思った。的確に国際社会に発信できていると思う」と話していました。
これは「化石賞」を、プラスの意味でもらえるものだと勘違いしちゃった…んですよね??
まあその点はさておき、明確な方針を示せず、相変わらず曖昧な表現・発言に終止した小泉大臣に対しては、各界から厳しい意見が投げかけられています。
小泉進次郎大臣の発言を追えば、意味はわかるはずだと思いますよ。センスや伝わり方の問題は別として日本の知識人が彼をバカ扱いするのはメディアに踊らされているように思いますが。
要は、彼は外圧を呼び込もうとしているのです。就任後、官邸の支援が得られないので舵を切ったということでしょう。 https://t.co/paTeADoykY— 三浦瑠麗 Lully MIURA (@lullymiura) December 13, 2019
三浦瑠麗さんのように「外圧を呼び込むため」と好意的に解釈する向きもありますが、どういう方向に持っていくために外圧を利用したいのかが見えてきません。
現実的に脱炭素化に向けて取れるオプションは、
1.原発を再稼働して火力発電の比率を大幅に下げる
2.世界が求める水準での脱炭素化は無理と表明し、説得に努める
3.経済成長や生活水準を犠牲にすることを覚悟で、再エネに振り切る
の3つしかないと思われます。
3番に振り切っているように見えるのが「闘う環境少女」グレタさんですが、私は彼女の主張にはどうにも同意できません。
ベースロードになれない再エネ(再生可能エネルギー)は原発・火力の代わりにはならないし、ソーラーや風力発電は広大な土地を必要とすることから、むしろ環境破壊につながる恐れがあることはすでに多く指摘されているところです。
原発ゼロに舵を切ったドイツの苦境を見ても、島国である日本が原発なしに現在の経済水準や生活環境を維持することは不可能だと思います。
そうなれば最初に追い詰められるのは、熱心に環境活動をしている人々ではなく、日々の生活に困っている社会的弱者の方々です。
それでも、「経済や生活なんて、地球環境の前には二の次だ!」というのであれば、3番の道を主張されるのもあるでしょう。
ただ現在の小泉進次郎大臣は、なんの哲学もなく、この3つを時に使い分けながら揺蕩っているように思えます。
■
私個人の意見を申し上げれば、徹底した安全確認や自治体同意は前提とした上で、原発は再稼働して活用したほうが良いし、また新設も妨げるべきではないと考えます(1番ルート)。
世界が求める環境政策を達成しながら国力を向上し、少子高齢化に直面する国民生活を維持する現実解はそれしかありません。
その方向に進むとなれば、原発処理水への速やかな対応・原発による風評被害の払拭など、やるべきことは明確に見えてきます。
ところが小泉環境大臣は、就任直後にこの道を閉ざしてしまいました。
参考過去記事:
小池都知事を間近で見てきたからこそ感じる、小泉環境大臣の危うさ
かといって2番に進むでも、3番の道を模索するでもない小泉進次郎氏は、おそらく2年程度となる任期でこの問題にどのような成果を残せるのでしょうか。
■
念の為申し上げますと、1~3番の選択肢に完璧な正解などありません。どれも一長一短で、リスクがある。
私とて、事故を起こすような原発のない社会が実現できれば、それがもっとも望ましいとは思います。
しかし繰り返しになりますが、いま原発というオプションを手放せば確実に生活水準は下落し、わりを食うのは綺麗事を並べる政治家や知識人ではなく社会的弱者です。
であれば、私は1番の原発活用ルートを、いかに低リスクで取れるかを考え実行することが政治家の責務であると考えています。
小泉進次郎大臣が描く道筋は、果たしてどこにあるのか。
来年の通常国会での論戦を通じて、私もしっかりとそれを見極め、建設的な提言をしていきたいと思います。
それでは、また明日。
編集部より:この記事は、参議院議員、音喜多駿氏(東京選挙区、日本維新の会、地域政党あたらしい党代表)のブログ2019年12月13日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は音喜多駿ブログをご覧ください。