「横断歩道無法国家」日本と議会決議の行方:後編

残念なお知らせです。私が提出した「佐倉市の横断歩道における安全・安心を実現する決議(案)」は、12月16日の佐倉市議会にて否決されました。(詳しくは前編

本件にご期待をいただいておりました皆さまに、力のなさをお詫び申し上げます。

千葉県佐倉市役所(Wikipedia:編集部)

議決結果の内訳は、10対18(否決)でした。本決議に反対した18名の内訳は、「さくら会」、「自由民主さくら」、「公明党」と無会派議員1名。つまり「固定メンバー」に反対された結果です。

ちなみに、私の政治スタンスは、右派でも左派でもない「是々非々」であるつもりです。しかしながら、私を知る方々からは「右派」とみなされることが多いし、実際、共産党や市民ネットの皆さまとは、議会で鋭く対立する場合が多々あります。

しかし、本件に賛同してくれたのは「市民ネットワークさくら」、「市民オンブズマンひまわり会」、「共産党」、一人会派の「新社会党:稲田議員」、私と同じ完全無会派の玉城議員と、圧倒的に左派を自任する議員の方々が多い。

分析するに、今回決議に賛同してくれた方々は、議案を自らのフィルタにかけて「正しいor Not」で判断しているのに対し、反対された議員の皆さまは、ざっくり言えば「仲間が上げた議案 or Not」で賛否表明されているように感じられます。もしそうでないというのであれば、今からでも遅くはないので、本決議に反対された理由をぜひお聞かせいただきたいと思います。

会派拘束の限界:議員個人の意思はどこにあるのか?

今回の決議案が否決されたのは、本当に残念でした。しかし、それ以上に悔しかったのは、18名もの反対議員がいながら、誰一人反対理由を表明しないまま否決されたことです。

私は、本決議案の説明の折、反対される議員の方がおられるならば、後学のためにも、期待を寄せてくれている佐倉市民の皆さまのためにも、ぜひご意見や理由をうかがいたいと申し述べました。

また、本決議案は12月2日にすべての会派室に持参させていただいたわけですから、否決された16日までに、検討いただく時間は十分にあったはずです。

市議会とはいえ「言論の府」である議会において、これだけ真剣に取り組んでも「鼻もひっかけられない」で否決されるのが、佐倉市議会の現状です。これが、私が何度も批判している「会派拘束」の実態であり、限界だと考えます。

選挙の折、「子供たちの将来のために」とか「誰もが住みやすい佐倉市を目指して」とかおっしゃっていた議員の皆さまは、自分に投票してくれた市民の方々に、本件をどのように説明するのでしょう?

photoB/写真AC

横断歩道無法国家日本を地方から変えよう!

さて、そんなわけで佐倉市議会においては「佐倉市は無法な横断歩道で全然OK(現状維持)」という議会の意思が示されました。

本件については今後も戦い続ける所存ですが、ひとまずそれはおいて、せめて佐倉市以外の議会において、横断歩道無法国家日本を「地方議会から変える」挑戦をしていただきたいと思います。

私が思うに、オリンピック機運が最高潮に高まり、インバウンド客が日本に押し寄せようとしているこの時期が、本決議を議会で通すチャンスです。調べた限り、横断歩道の安全に特化した決議なり、条例を制定している地方議会はないという認識です(間違っていたらすみません)。

その意味で、今後開催される議会においてもし「安全な横断歩道を実現する」決議や条例を通すことができれば、市民の皆さまに喜んでいただけるのはもちろん、先進的な議会として日本をけん引する役割を担うこともできるかと思います(実効性のある施策を打ち続け、結果その自治体の横断歩道が安全になることが前提ではありますが)。

そこで、前回公開した決議案とあわせ、私が作成した「佐倉市横断歩道安全条例(案)」を本邦初公開いたします。法務チェックは入っていませんが、土台としては十分使える精度で作成したつもりです。議員提出議案として条例が制定されることはどの地方議会でもほとんどありませんから、とてもチャレンジングな試みになるでしょう。

利用に制限はございませんが、もし利用した、あるいは参考にしたというご一報をいただければ、私のブログでは必ず取り上げさせていただきます。また、記事が公共性の高いものに仕上がり、編集部にOKをいただければ、アゴラに取り上げていただけるかもしれません。

以上、私はひとまず敗れましたが、本件について賛同いただける各地の議員、横断歩道の安全実現を目指す市民国民の皆さまの奮起を期待します。「私は議員でないから何もできない」と思われているあなたに朗報です。市民には、議員に「請願」をあげる権利が憲法で保障されています。

また、「陳情」であれば議員を通さずに議会に上程することもできます。詳しくお知りになりたい方は、「●●市 請願」などで検索すれば、すぐ情報を得られますので、ぜひお試しください。

日本を、地方から変える実績を、ともに作りましょう。その狼煙はいま上がりました。

高橋 富人
千葉県佐倉市議会議員。佐倉市生まれ、佐倉市育ち。國學院大學法学部卒。リクルート「じゃらん事業部」にて広告業務に携わり、後に経済産業省の外郭団体である独立行政法人情報処理推進機構(IPA)で広報を担当。2018年9月末、退職。出版を主業種とする任意団体「欅通信舎」代表。著書に「地方議会議員の選び方」などがある。