約2.2兆ドルの景気刺激策で盛り込まれた給与保証プログラム(PPP)の修正案「Paycheck Protection Program Flexibility Act(PPPFA)」が6月5日、トランプ大統領の署名をもって成立致しました。
成立当時のPPPは、こちらでご紹介した通りです。
今回の修正案、主な柱は以下の通りです。
1.融資対象
修正前:6月末までの従業員の給与、並びに賃料など事業費
修正後:6月末から24週間延長し、12月末まで
2.融資額の使用期間
修正前:8週間
修正後:24週間
3.融資額に対する給与支払い割り当て上限
修正前:75%
修正後:60%
4.融資を受ける上での再雇用の条件
修正前:6月末までに、融資を申請した時点でのフルタイム、あるいはそれに準じた従業員数(再雇用を拒否した従業員を除く)を再雇用
修正後:12月末までに、融資を申請した時点でのフルタイム、あるいうはそれに準じた従業員数を再雇用、ただし以下①~③の場合でも元本支払い免除の対象とする
①2月15日あるいはそれ以前に雇用していた従業員を再雇用できないと証明できる場合
②2020年12月末時点あるいはそれまでに同様のスキルをもつ従業員数を再雇用できないと証明できる場合
③稼働率が2月15日以前の水準を回復していないと証明できる場合
5.借入期間
修正前:2年間
修正後:5年間
画像:マルコ・ルビオ上院議員、政府の努力が劇的な雇用回復につながったとツイートしトランプ氏もリツイート
“In short, give some credit to the government relief efforts, especially the Paycheck Protection Program, for bringing back jobs.”#PPP #PPPWorks https://t.co/myagqOkplF
— Marco Rubio (@marcorubio) June 6, 2020
変更をご覧になって、3の融資額に対する給与支払い割り当て上限が引き下げられたため、労働市場にマイナスではと考えられるかもしれませんが、民主党が多数派の下院では417対1で可決していました。ここの条件の修正により、給与支払い割り当ての引き下げにより、雇用主にとって融資の使い道に裁量の余地が広がるため、民主党も賛成していたとうわけです。
上院では発声投票であっさり可決しており、こちらで指摘したように選挙を控え共和党も民主党も雇用確保と企業支援では一枚岩と言えるでしょう。
編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2020年6月7日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。