政策アウトリーチが、中小企業施策を一変させる

私が代表理事を務める一般社団法人RCFが、コロナ危機でが何に取り組んできたかを、四週連続で公開しているので、紹介します。

新型コロナ禍のなか生まれた、新たなセクター連携と見えてきた次の課題(1)

新型コロナ禍のなか生まれた、新たなセクター連携と見えてきた次の課題(2)

中小企業向けの制度を、ワンストップで伝える

2回目では、NPO法人HUGさんにお声掛け頂き、クラウド会計大手のfreee社の協賛で展開している「ザ・ピンチヒッター」について取り上げました。
6月17日、150日に及んだ通常国会が閉じました。コロナ危機政策を通じて、制度をつくるだけでなく、いかに運用するか(困った方に届けるか)が重要との認識がひろがりました。中小企業施策ひとつとっても、経済産業省、中小企業庁、厚生労働省、各都道府県、各市町村が別々に、ときに似たような制度を実施しています。

自分が住んでいる市町村のHPをみても、自治体の政策しか掲載していないこともあり、都道府県や各省庁のサイトを丹念に見ていく必要があります。結果、真にこまって余裕がない方ほど、申請をあきらめることで支援が届かないことが生じています。
そうした問題意識から、一つのサイトに自分の所在地や業種を選択すれば、重要な制度が一覧できるサイト「ピンチヒッター」を立ち上げたのです。

政策アウトリーチの重要性は、福祉から中小企業へ

福祉用語で「アウトリーチ(手をのばす、の意)」という言葉があります。福祉政策も多くは申請主義であり、どれだけ困窮世帯向けに制度をつくっても、当事者が役所に要請しなければ支援は行われません。そのため、NPOは困窮世帯を探し出し、直接支援を行います。例えば「こども宅食」も、困窮世帯を見つけ、食品を定期配送することで関係を築き、支援を届けています。

中小企業でも、真に困った企業に制度が届いていない現状があります。そこで「政策アウトリーチ」という言葉を用いて、制度が届く仕組みを提供しているわけです。
私見ですが、今後はfreeeのようなビジネスプラットフォームがあることを前提に政策がつくられ、自動的に支援対象が選択され、瞬間的に支援金が届くような流れになると考えています。持続化給付金を届けるために数百億円かけて全国各地で会場を用意したり、大規模なコールセンターをつくるよりも余程効果的になるはずです。

政策アウトリーチが、中小企業施策を一変させる

「ピンチヒッター」では、政策アウトリーチの必要性を深めるために、元厚生労働省の千正さんと、前横須賀市長の吉田雄人さんにインタビューを行っています。

お二人とも、国の政策にせよ、自治体の政策にせよ、職員の数が不足している中で、いかに民間と行政が連携しながら政策を形成し、また当事者に政策を届けるかを語って頂いています。

政策をいかに作るかだけでなく、いかに届けるか。政策アウトリーチという考え方をぜひ知って頂ければと思います。


編集部より:この記事は、一般社団法人RCF 代表理事、藤沢烈氏の公式note 2020年6月18日の記事を転載しました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は藤沢氏のnoteをご覧ください。