経産省も推進する越境学習で、コロナ後の新しいリーダー育成を

真田 茂人

新型コロナウイルス感染の影響で、多くの企業は先が見通せない状況に追い込まれています。

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こういう状況の中で、求められるリーダー像も大きく変わってきました。

今までのリーダーは問題解決が出来ればよかったのですが、コロナ後はそれでは通用しません。

そもそも問題とは「あるべき姿・目指す姿」と「現在」のギャップですが、今まで「あるべき姿・目指す姿」はある意味、所与のものでした。アメリカなどの外国企業であったり、業界最大手企業であったり、キャッチアップすべきお手本があったからです。

だからこそ、リーダーは問題解決に専念できたのです。

しかし、コロナ後のリーダーには、先が見えない中でも、「あるべき姿・目指す姿」、つまりビジョンを自分で新たに設定することが求められます。

今までキャッチアップ型のビジネスモデルの中で、同質な集団内での出世競争をしていたビジネスパーソンに、急にそれを求めるのは酷なことです。

今までの経験に囚われず、広い視野・高い視座を持ち、大局的な観点でビジネスを捉え直すことが必要です。

そこで注目されているのが「越境学習」です。経済産業省でも「越境学習によるVUCA時代の企業人材育成」というレポートを出し、越境学習を積極的に推奨しています。

「越境学習とは、ビジネスパーソンが所属する組織の枠を超えて、学ぶこと」としています。

ヒエラルキーがあり同質なホームでは、自分の常識や前提は共有されていますが、アウェイでは通用しません。アウェイで揉まれることで、多様性への対応、自分の前提を見直す、新しいものの見方や世界観を身につけるなど様々な効果があります。

越境学習には様々なタイプが存在します。異業種の人たちと普段の仕事と違うテーマで学ぶ、NPO法人の社会課題の活動に参加する、などです。

越境学習は大きな成果が期待されますが、一方で、負の側面もあります。

アウェイの活動、特に社会課題の活動への参加は、とても新鮮で刺激があります。学びを自社に還元することよりも、社会課題活動にのめりこんでしまう人もいるのです。

まさにミイラ取りがミイラになってしまった、これは極端な例ですが、要はアウェイでの活動を、どう振り返り、活かしていくかが重要です。

そもそもアウェイでの活動や学びは、自分の本業とは全く違います。だから、活動そのものやコンテンツそのものが本業に直接活かせる訳ではありません。

その活動やコンテンツを通じて、自分の基本的な考え方「人間観・世界観・価値観・哲学」などをどう見つめ直し、どう修正出来るかが重要なのです。

人にとってのOSとも言えるものです。OSの転換が出来る越境学習は、新しいリーダーを育成することに大いに役立つでしょう。

私の経営する(株)レアリゼとアゴラが提携して、運営する「アゴラ・サーバントリーダーシップ・ビジネススクール」(ASBS)は、まさにOSを転換する越境学習の場です。

リーダーとして成長するためには、自分が勝てる安全な環境を抜け出し、他流試合に出ること=越境学習が必要です。会社・業種・政官民の垣根を越えて議論し、自分の足らずを自覚し、そこから新たな未来をアウトプットする本格的知的格闘の場であるASBSは、5月に開講予定です。

これがASBSの講師陣です。