緊急事態宣言の発令に伴い、東京都の飲食店で酒類提供が一律に制限される方向が示された。
19世紀の英国で、酔っ払った労働者階級が様々な問題を引き起こしたことから、「国民の心身ひいては社会にとって酒は有害なので、酒場を減らそう」という意見が出た。
それに対し、ション・スチュアート・ミルは、
「酔って他人に危害を加える者については規制してもよいが、酒そのものを規制することはない」
と言って反対した。
そして、酒を飲んで暴れるような輩を出さないようきちんと管理できる店では、自由に酒を提供させるべきだと説いた。
私は、ジョン・スチュアート・ミルが解く「他人に危害を与えない限り、個人の自由を制限すべきではない」という「危害原理」を深く信奉している。
感染対策を徹底している飲食店の営業時間や酒類の提供を制限せず、感染対策が不徹底な飲食店に対策を徹底させるインセンティブを与える機会は、今まで何度となくあった。
具体的な方法についても多方面から意見が出され、様々な議論もなされた。
今回、またしても十把一絡げに飲食店を規制するのは、考えることも行動することも放棄した思考停止のアリバイ工作に他ならない。
その尻拭いのために協力金という名目で血税がばらまかれるのでは、一納税者としてたまったものではない。
今からでも遅くはない。
東京都も国も、「何が危害を加えているか」をきちんと把握し、危害を加えていないものの権利を制限しないよう最大限の努力をすべきだと考える。
編集部より:このブログは弁護士、荘司雅彦氏のブログ「荘司雅彦の最終弁論」2021年7月8日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は荘司氏のブログをご覧ください。