今こそ考えたい、SNSでの誹謗中傷を止める方法。

おくざわ高広です。

町田から政治と社会のかけ橋になるべく暮らしています。

今日は、NEWSおくちゃんねるのLIVE配信があり、「今こそ考えたい、SNSでの誹謗中傷を止める方法。」をテーマにお話ししました。

オリンピック選手に対する誹謗中傷が問題となっていますが、これは決して他人事ではなく、誰もが加害者にも被害者にもなりうる問題だと改めて考えさせられます。

mokee81/iStock

0.誹謗中傷とは?

「誹謗」=他人の悪口、ののしり

「中傷」=根拠のない嘘やののしり

「誹謗中傷」=根拠なき他人への悪口=言葉による暴力、いやがらせ

となります。

1.何が問題なの?

誹謗中傷は、一人でTVを見ながらつぶやいている分には問題が生じませんが、

SNS等を通じて発信されることで、他人の権利を侵害したり(名誉棄損や信頼低下など)、業務を妨害することになり、精神面、経済面など様々な面で他人を追い込むことになります。

さらに、SNSでは

✓匿名性(発信者が分からない)

✓非対等性(誹謗中傷される側は公人で反論できない立場にあるなど)

といった特徴があり、

✓批判と誹謗中傷の線引きの難しさ

✓無自覚性(発信者に悪意はない)

などと相まって

✓反復性(同じ人が繰り返し誹謗中傷を行う)

✓流動性(誹謗中傷する人、される人がめまぐるしく変化する)

が加わり、止めるのが非常に難しい問題になっています。

2.誹謗中傷を分析すると?

とはいえ、場合によっては人を死に至らしめるほどに追い込んでしまう問題を放置するわけにはいきません。そこで、まずすべきは誹謗中傷を分析することです。同じ言葉が投稿されても、その背景にあるのが悪意なのか、正義感なのかで対応は異なるからです。

これについては複数の有識者が分析を行っているようですが、

✓炎上参加者の60~70%は正義感をもっている

✓炎上参加者はSNS参加者全体でみると7万人に1人程度

✓社会意見分布とSNS投稿回数は逆の結果になる

といった分析がなされており、少数の声の大きい人がこの問題を引き起こしていることが見えてきます。一方で、誹謗中傷は正義感から生まれてしまっている可能性もあり、悪意ある個人を罰すればおさまる問題でもないということです。

参考)山口真一氏(国際大学グローバル・コミュニケーション・センター 准教授)

五輪選手への中傷、なぜ起こるのか 効果的な対策は

参考)鳥海不二夫氏(東京大学大学院工学系研究科教授)

オリンピック選手への誹謗中傷は誰がしているのか

3.具体的な方策は?

このように、SNSでの誹謗中傷は起こるべくして起こっているものであり、モラルだけでは止めようがないものだということも分かるかと思います。では、国ではどのような対策を講じているかと言えば、

総務省では、

①ユーザに対するモラルやITリテラシーの向上

②プラットフォーム事業者の自主的取り組みの支援

※AIを活用した自動削除や投稿前の注意喚起などが行われています。

③発信者情報開示に関する取組

プロバイダ責任制限法などを通じて、情報開示を可能にしています。

④相談体制の充実

を政策パッケージとして示していますが、特効薬はなく、これらを組み合わせて地道に取り組んでいかなければならないのが実情です。

加えて、①に含まれる部分でもありますが、公人や著名人がブロックやミュートなどのフィルタ機能を適切に使えるようにすることも重要だと思います。

私自身、公人の立場で全てのコメントに真摯に対応しなければならないと考えるあまりにメンタルをやられて全く眠れない日々を過ごしていたことも事実です。

が、都議という立場を離れ、自分を守るためにミュート機能を使わせていただくようにしており、
だいぶ心が楽になっています。

公人や著名人がこうした機能を使うことについての反論もありますが、誹謗中傷をゼロにはできない以上、自らを守るための防御策くらいは許してもらえるとありがたいところです。

また、発信者情報の開示が容易になったとはいえ、法的な措置をとることには精神的にも経済的にも大きな負荷がかかります。それに耐えられる人もいればそうでない人もいることは理解しておく必要があります。今回、オリンピック選手の中には法的な措置をとるとしている方もいますが、私は勇気ある行動を強く支持します。

4.まとめにかえて

改めてSNSでの誹謗中傷がを起こさせない(止める)のは不可能に近いと思います。一方で、大きな問題に発展する前に被害を小さくする(防ぐ)余地は残されていると考えます。SNSに限らずですが、便利なツールが生まれれば、その逆で起こる問題にも目を向け都度対策を講じていかなければなりません。ツールそのものや特定の個人をやり玉に挙げるのではなく、問題が生じるメカニズムに目を向けることを続けていきます

皆さんにも、自分ごととして考えを深めていただくきっかけになれば幸いです。