2020年に米国人平均寿命は03年以来の低水準、日本は逆に最長のワケ

新型コロナウイルス感染拡大を受け、米国では60万人以上の尊い命が失われました。

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その結果、米国人の平均寿命が短縮してまったのは、既報の通りです。米疾病対策センター(CDC)が7月21日に公表した調査結果によれば、2020年の米国人の平均寿命は77.3歳と2019年から1.5年も短縮してしまいました77.3歳というのは2003年以来の低水準で、落ち込みは第2次世界大戦以来で最大なのですよ。男性は74.5歳と2019年の76.3歳から1.8歳女性は80.2歳と2019年の1.2年短縮しています。

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チャート:米国人の平均寿命、男女ともに大きく低下 (作成:My Big Apple NY)

人種・男女別で最も落ち込んだのはヒスパニック系男性で2020年に3.7年も短縮、続いて黒人男性も3.3年黒人女性は2.4年ヒスパニック系女性は2.0年も短くなっていました。白人男性の1.3年、白人女性の1.1年と比較すると、その違いは一目瞭然です。

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チャート:人種・男女別の2020年と2019年の平均寿命の差 (作成:My Big Apple NY)

ただし、最も長生きな人種はヒスパニック系で78.8歳(19年:81.8歳)、続いて白人が77.6歳(19年:78.8歳)、黒人が71.8歳(74.7歳)です。

2020年に寿命が短縮した最大の理由はやはりコロナで、73.8%を占めていました。他の要因をみると、事故(薬物過剰摂取を含む)が11.2%、殺人が2.5%、糖尿病が2.3%、慢性肝疾患が2.3%を担います。逆にガンや心臓病、自殺による死亡者は減少、これらが寿命の短縮を抑えなければ、一段と悪化していたはずです。米国人も健康に配慮した生活を送ったことで、コロナ以外の疾病での死亡は減少していたというわけですね。男女別でみると、男性でコロナは寿命短縮の79.8%、女性で68.7%を占め、男性で大きいことが分かりました。

人種別では、ヒスパニック系が90%、白人が67.9%、黒人が59.3%を占めます。従って、ヒスパニック系の高齢者がコロナで倒れてしまったため、平均寿命の短縮にコロナが人種間で最も大きく寄与したと考えられます。

その他、薬物過剰摂取を含む事故はヒスパニック系がわずか4.2%だった半面、白人は14.2%、黒人は11.9%と対照的でした。また、黒人は殺人が7.7%、心臓病が5.9%と、他人種と比べ突出した点は気掛かり。特に心臓病は米国人全体では減少しており、黒人における18歳以上の肥満率が2018年時点で49.6%と、ヒスパニック系(44.8%)、白人(42.2%)を上回る実態が一因として挙げられます。ちなみに、アジア系は17.4%ですから、その差は歴然としていますね。

翻って日本人の寿命は、2020年のコロナ禍で最長を記録。男性は81.64歳、女性は87.74歳でした。コロナの死亡者が少なかったほか、健康的な自粛生活を送り、手の消毒などの徹底が影響したことはインフルエンザが抑制された動きと一致します。

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チャート:日本人の平均寿命 (作成:My Big Apple NY)

もうひとつ、肥満率が死亡に影響を与えた可能性が考えられます。世界肥満連盟の調査によれば、2月時点での約250万人のコロナ死亡者のうち約220万人は肥満率が高い国で占められていました。実際、米国での10万人当たりの死亡者数は8月2日時点で186.82人のところ、肥満率は2016年で36.2%、英国やメキシコでも肥満率と死亡者が高水準にあることが分かります。逆に肥満率が4.2%の日本は10万人当たりの死亡者は12.05人、肥満率が最も低い国の一つであるベトナムも低水準でした(なお、ここでの肥満率がBMI=30以上)。

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チャート:成人に肥満率が高い国では、コロナ患者の死亡者が高水準に (作成:My Big Apple NY)

肥満は心臓病、糖尿病、高血圧、胆石症、脳卒中などを引き起こし、コロナ禍では既往症により症状を悪化させかねません。体脂肪率が気になったら、まずはご自宅でストレッチなどを行い、最初の一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK –」2021年8月3日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。