2021年総選挙、女性比率は汚名返上ならず

衛藤 幹子

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2021年の総選挙、与党の絶対安定多数、自民党単独でも過半数を上回るという結果であった。野党統一候補が自民党の重鎮を破る快挙もあったが、総じて統一候補の票は伸び悩み、しかも立憲民主党と共産党はともに議席を減らした。立民にとって共産との共闘は失敗だったというほかない。枝野代表は辞意を表明したが、この際執行部を一新し、ミスリードをした市民連合との関係も見直して、再スタートを切るべきだ。ともあれ、総括的な論評は専門家の詳細な分析を待つことにし、ここでは女性の動向に注目する。

前回の投稿で、私は立民が候補者を男女同数にする「パリテ」を立ち上げたことを紹介し、女性候補者の増加への期待を述べた。ところが、蓋を開けてみれば、立民の女性候補者比率は、パリテどころか、女性が一定の影響力を発揮するために必要な30%にも満たない18.3%であった。主要6政党の中で女性比率の最も高かったのは共産党35.4%、次に国民民主党29.6%、日本維新の会14.6%、自民党9.8%、公明党7.5%と続く。全候補者1051人のうち、女性は186人、17.7%にすぎなかった。

女性当選者は45人、比率にして9.7%だ。候補者比率は2017年の総選挙と全く同じ、当選者も前回が10.1%だったので、これもほぼ同じ、女性の政界進出の著しい進展という世界的トレンドにあって、日本はもはや「ガラパゴス」である。

表1: 2021年総選挙、政党別女性候補者数と女性当選者数、( )内は総数

データはともにNHKによる。なお、女性当選者数については、総務省の正式発表ではなく、NHKが発表した当確者一覧を基に筆者が作成した。

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表2は2005年以降の総選挙における女性の立候補と当選の傾向を追ったものである。共産党は、近年女性候補者の擁立に力を入れているようで、25%前後から30%を維持している。もっとも、同党の場合、何分にも獲得議席数が少ないので、女性議員数の増加にはほとんど貢献しない。

表2:総選挙における政党別女性候補者/当選者の推移、( )内は総数、下段は比率
2017年までのデータは総務省選挙関連資料に基づく。

一方、議席獲得の勝率が高く、女性候補者を増やせば、女性議員比率もそれにともなって上昇する可能性の高い自民党は、女性の擁立に及び腰だ。男性現職をどの政党よりも多く抱えるため、新人の投入が難しいとは思う。が、それでも新旧入れ替えはある。実際、今回の選挙でも72人が新人であった。新人候補者をすべてとまでは言わないが、せめて半数を女性にすれば、現職と合わせれば50人強になる。選挙毎にこれを繰り返していけば、自民党の女性議員は確実に増えるはずである。自民党には政権党として女性議員を増やす責任がある。

2017年の総選挙ににわか仕立ての結党で臨んだ立民は、候補者を揃えるために女性を擁立しなければなず、公認候補の4分の1が女性になった。候補者不足が女性擁立のインセンティブになることは、立民の前身の民主党の例からもわかる。2009年の民主党は選挙区に満遍なく候補者を立てるために女性候補者を倍増した。候補者の充足という必要性に加え、女性の積極的な登用はジェンダー平等が大きな弱点である自民党との違いを強調できる利点もある。

だが、立民は額面通り女性の擁立ができなかった。なぜか。一つには女性候補者不足があるかもしれない。女性にとって、選挙への出馬は極めて高いハードルである。候補者探しが難航したことは想像に難くない。さらに、選挙情勢が影響したのではないかという憶測もできる。菅政権の支持率が乱高下し、相次ぐ補選の敗北で、自民党の下野が現実味を帯び、政権交代のチャンスも視野に入ってきた。候補者の当選期待が高まると、男性優先、女性にチャンスは巡ってこなくなる。いずれにせよ、立憲民主党はなぜパリテが実現できなかったのかを反省し、実現に向けた実効性のある道筋を示すべきである。

ジェンダー平等は日本のイメージを向上させ、国益にも寄与する。女性国会議員の存在は可視的な効果も高く、ジェンダー平等の進展をアピールできる。重要な政治課題として政党を挙げて真剣に取り組む必要がある。