”リ・ウファン・アルル”だけでも大満足な上に、アリスカンで李禹煥のインスタレーション”レクイエム”が開催されている。アルル、素晴らしい~。
アリスカンは、古代から中世に使われた墓地。墓地と言っても、緑豊かな遺跡という感じで、アルルに点在する世界遺産の一つ。
この空間や建物を使った15ほどのインスタレーションが置かれている。数百年、数千年前に作られた石細工と、今、李禹煥が作り上げたさまざまなマチエールのオブジェが見事に響き合っている。
随所に置かれた石は墓石に見え、細い細い糸に天国と地獄を感じ、風にそよぎチリンリンと鳴る風鈴が鎮魂歌に感じられ、礼拝堂に敷き詰めた石の踏んだときの乾いた音が死者への弔いの言葉にも聞こえる。
探さないと気づかないかもしれない作品もあるので、入口でもらえる地図必携。
李禹煥の感性を通して、過去と現在が交歓しているような、素晴らしいインスタレーション。現実世界から離脱して、異時空間に身を置いたような気がするひと時。
編集部より:この記事は加納雪乃さんのブログ「パリのおいしい日々4」2022年7月10日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は「パリのおいしい日々4」をご覧ください。