宗教法人に「寄付制限」を法で設けることは違憲か

こんにちは、音喜多駿(日本維新の会 参議院議員 / 東京都選出)です。

先月のブログで中間報告をした後も断続的に調査を続けていた宗教法人等の規制法案について、今日は論点整理を終えた参院法制局とがっつり3時間ほど議論を行いました。オンラインで政策議論3時間は…疲れた。。

・寄付の上限額設定
・宗教法人への課税
・宗教法人法に基づく解散命令(反セクト法)

の3点を中心に議論したのですが、ブログでは寄付の上限額設定・法規制について中間報告を。

まず参院法制局の見解としては、寄付の金額に法規制をかけることは違憲(信教の自由の抵触)の疑いが強いということで、この点を立法で制限することには慎重姿勢です。

根拠としているのは、

1
「宗教団体が布教活動ないし献金勧誘をする行為は、宗教的信仰の外部的な表現である点で、信教の自由(宗教的行為の自由)の一部として憲法上保障されている
(奈良地方裁判所平成9年4月 16 日判決)

2
「宗教的教義にのっとって、ないしは布教活動に伴い、献金等一定の金員の出捐を勧誘する行為は、信教の自由に由来する宗教活動の一環として当然許容されるべきものであり、これを殊更に制限することは許されない
(大阪地方裁判所平成 13 年 11 月 30 日判決)

3
「宗教上の喜捨の多寡は、経済取引対価と同様には考えられず、高額な金員でも出捐する者が宗教上の喜捨としてその意味を納得して出捐しているのであれば、問題はない
(名古屋地方裁判所平成 13 年6月 27 日判決)

などの判例です。加えて、寄付上限をかけるということになれば、例えば信仰の内容として、

「会員の前記教育活動等によつて得られる個人的収入は、すべて被控訴人教会に帰属し、その都度教会に納入すべきもの」

としているカトリック教会の修道会まで規制・制限しなければならなくなり、果たして憲法訴訟に耐えられるのか?という懸念が強くなります。

そこで参院法制局とは直接的な上限規制の他に、寄附者に「取り消し権」を付与することによる事後的な解決策・間接的な制限アプローチを議論しています。

現行でも宗教法人など組織側に社会通念から外れるような勧誘行為・違法行為があれば寄附金額を取り返すことができるのですが、これでは寄附者側が訴訟して取り返すためのハードルが高い。

そこで一定の条件で寄付の「取り消し」を行える権利を寄附者側に寄与することで、組織側の力を弱めて実質的な規制強化をしていくという案です。

これはこれで一つの方法ではあると思う反面、

吉村共同代表も懸念する通り、これでは迂遠すぎる策であり、救われないと感じる国民も多いでしょう。

参院法制局が論拠としているものは、少なくとも本日時点では地裁判決。違憲判決をするのは最高裁というのも吉村さんが指摘をする通りです。

本日の議論を踏まえてさらに、党政調会としても国会議員のみならず地方議員・特別党員も参加できる形での立法勉強会、また被害状況の聞き取りなどを今週後半から来週にかけて行うことを計画しています。

動画でもコメントしました。

直接的な制限・規制についても諦めることなく、引き続き関係各所との議論および調査を続け、意見集約を急ぎます。

それでは、また明日。

Baiterek Media/iStock

 


編集部より:この記事は、参議院議員、音喜多駿氏(東京選挙区、日本維新の会)のブログ2022年8月30日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は音喜多駿ブログをご覧ください。