10月8日の記事がいろいろ反響を呼んでいるので、細かいことを補足しておく。
第3回接種回数と超過死亡数のピークが一致
まず明らかなことは、今年2~3月に大きな超過死亡が出たという事実である。これは厚労省アドバイザリーボードの資料でも、国立感染症研究所の鈴木センター長が認めている。
今年前半の超過死亡数(感染研)
1万7767人~4万6588人という大きな幅があってわかりいにくいが、中央値をとって3万2177人としても、半年の超過死亡数としては(東日本大震災の2011年を除いて)空前の大きさである。
それに対して同じ時期のコロナ死者数は1万2904人と、超過死亡数より約2万人少ない。この差の原因は何かというのが問題だが、森田洋之氏の示している図によると、3回目のワクチン接種と超過死亡のピークが3月初めで一致している。
ただ、これはタイミングが一致しすぎている。普通は発症してから死亡するまで20日ぐらいかかるので、ワクチン接種が原因だったら、超過死亡のピークは3月末になるはずだ。コロナ重症者数をみると、第6波のピークは2月初めで、ワクチン接種のピークより1ヶ月近く早い。
コロナ入院者数と重症者数の推移(厚労省アドバイザリーボード資料)
超過死亡が増えた最大の原因は「老衰」?
第1回・第2回については感染研が検証しており、いずれも超過死亡数の増加がワクチン接種より早い。デルタ株までは、ワクチン接種と死亡数の相関はランダムに近い。
ワクチン第1回・2回接種と超過死亡(アドバイザリーボード資料)
第4回接種の7月以降はまだ超過死亡数のデータがないが、東京都のデータでみると、8月の死者が増えている。これはコロナの第7波ともワクチンの第4回接種とも対応しているが、まだ因果関係は不明である。
ではコロナ死者を超える2万人の超過死亡の原因は何だろうか? 5月までは人口動態月報で死因が出ているが、それによると増加が最大なのは老衰である。その他に(コロナ以外の)呼吸器系疾患や心不全が増えており、コロナの増加はそれより少ない。
今年1~5月に増えた死因(人口動態月報)
老衰や心不全は、死因を特定できない場合に使われる病名なので、この中にワクチン接種の影響も含まれているかもしれないが、無症状のコロナ陽性者まで隔離するなどの過剰介入で医療資源が逼迫した医原病の疑いも強い。
いずれにせよコロナ死者数を大幅に超える超過死亡が出たのは、医療対応に問題があると思われる。その原因の解明が必要である。