ここ最近、メディアで“配属ガチャ”がクローズアップされることが増えています。学生がかなりナーバスになっているという論調ですね。
確かに、一回しか使えない貴重な“新卒カード”使って外れが出たら悔やんでも悔やみきれないという人は多いでしょう。
一方で、がっついたビジネスパーソンの中には「配属ガチャなんてただの思い込み」という人も少なくありません。
まだ配属ガチャとか言ってんのか!?
配属は運じゃないからガチャじゃないの!
人事が裏で高評価の奴から配属希望を優先して通してんだよ。運で決まるわけじゃないのに、運で決まるって思ってるって、お前らバカかよ? だから配属希望が通らないんだよ
採用する方にしてみりゃ、新卒ガチャなんだぞ https://t.co/9crC2UuCVx
— 田端塾長@田端大学 10月の新規加入を受付中! (@tabbata) October 1, 2022
そうしたギャップはどこから生じるものなんでしょうか。いい機会なのでまとめておきましょう。
人事からみた配属ガチャ
日本企業では長く新卒一括採用が一般的でした。これは具体的な仕事内容や配属先などは詰めずに“ポテンシャル”や“人間性”を人事部門が評価、判断し、合否を出すというものです。
当然、内定時にはまだ配属先は決まっていません。内定出した後に配属枠と本人志望、面接評価とにらめっこして人事部が決め、入社後に本人に通知されることになります。
多くの企業だと共通の新人研修を終えてからなので、入社後1か月程度たってからになりますね。
多くの新人はそこで初めて「自身のキャリアの出発点」を知ることになります。そりゃ営業か総務か、本社か地方営業所かでその後のキャリアは大きな影響を受けることは間違いないので、学生がナーバスになるのも当然でしょうね。
ただ、それはあくまで建前の話。実際には面接の段階で、人によっては具体的な配属先が既にイメージされていますし、会社によってはその場で事実上の配属約束を出すところもあるでしょう。
そこまでいかなくても、内定後の配属調整の段階で本人の志望に最大限配慮した配属がなされ、入社後の発表時には「なんだ、全然ガチャなんてなかったじゃん」って話になると思います。
では、どういう人がどういう扱いをしてもらえるかというと、すばり「それに値する優秀者」ですね。
そういう人材にとって、新卒一括採用といえどガチャの要素は実はほとんどありません。冒頭のつぶやきはその通りだと筆者も思います。
と書くと、中には「でも自分はそこそこ優秀だししっかり配属先希望も伝えたのにガチャで外れがきたゾ」という人もいるかもしれません。
そういう人はですね、単純に中身が伴っていないんだと思います。たとえば東京の方が何となく出世できそうだから本社希望、最近ニュースでよく目にするからDX関連希望etc……
そういうレベルの志望は、たぶん普通の人事は「空きがあったら聞いてやる」くらいのスタンスで聞き流すと思います。
これが逆に、インターン2社やって実際に〇〇の業務に携わってみて強く志望、自分でも色々勉強してますしインターン先からも高評価で配属約束付きの内定貰ってますくらいの人だったら、人事の扱いも変わってくるでしょうね。
要するに、ただ単に耳に心地よい志望を口にするだけの人って、自分でも自分が何がしたいかわかってないんですよ。本人がわかってないものを赤の他人の人事がどうやったってそれは運任せのガチャにしかならないし、大当たりなんてまず出ないでしょう。
“配属ガチャ”の本質は「人事がふったサイコロで当たりが出るかどうか」ではなく、そもそも「どういう目が出たら当たりなのかすらわかっていない」点にあると筆者は考えています。
さて、ここにきて配属ガチャへの不安が高まっている理由ですが、政府や経団連が脱・年功序列とジョブ型へのシフトを前面に打ち出していることが背景にあります。
それって言いかえれば「あなたの希望するジョブはなに?人生を何の仕事に賭けるの?」と答えを迫られてるようなものですから。答えをまだ見つけていない人ほど不安にもなるでしょう。
以降、
新人が配属ガチャをそんなに心配しなくてもいい理由
配属ガチャで外れを引いてしまった場合の対処法
Q:「キャリアの幅を広げるメリットについて」
→A:「またとないチャンスでしょう」
Q:「ジョブ型における研修のあり方とは」
→A:「何を身につけるのかは自分で決めることになります」
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編集部より:この記事は城繁幸氏のブログ「Joe’s Labo」2022年10月14日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はJoe’s Laboをご覧ください