リベラルなオランダがイスラム教徒と気が合わない理由を日本人は何も知らない

オランダはEUにおいて最も過激なリベラル政策を打ち出してきた国です。小国なため、過激さで他国と差をつけてきたのです。

オランダという国や国民性に関しては、12月に発売された私の新作書籍『世界のニュースを日本人は何も知らない』でも解説しています。

私もオランダに滞在していたことがありますが、日本でも有名な「飾り窓」は政府公認の売春で有名です。コーヒーハウスという店に行けば、スタバでコーヒーを頼む感覚でさまざまな産地の特産大麻が楽しめます。

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イギリスやイタリアの男性が「友達とアムステルダムに遊びに行くんだよ!」といったら、要するにそういうお楽しみということです。

欧州の男性も風俗にも行くし、大麻を楽しむ人もいます。日本の左翼女性が認めたくない実態です。そしてオランダだけではなく、イギリスやイタリアなど日大アメフト部の処分を理解できない人が多いのです。

「場所は決めておくし、一応透明化して安全性は確保する、所得税や法人税も払ってくれ。ヤバい取引が起きないようにする。だから後は自己責任で勝手にやって下さい、あんたが死のうが生きようが具合が悪くなろうが知らない」というのがオランダの考え方です。

恐ろしく個人主義で放任だ。ただ行動の結果の責任は自分でとれということです。街中が注意書きとうるさいアナウンスだらけの日本とは正反対です。

オランダは電車の段差もすごく、手すりは異様に高いところにあります。便座も高いので我々昭和な日本人は座ると足が届きません。アナウンスは早口で短いのです。

これも動けないならお前が悪い、手すりに届かないのは貴様が悪い、自分で工夫してなんとかしろという厳しさです。

実に容赦ありません。

こういう個人主義がオランダの考え方です。

そして極めて合理的です。

だから安楽死も認めているのです。死にたいのも権利だし個人の決定です。人生の中心は個人の意志で誰かが決めたことでも教義でもありません。人間中心主義です。教会を否定した欧州の近代の核です。

オランダの過激なリベラルさはイギリス人でもビビるほど。

その一方でアムステルダムを始めとするオランダの都市は東京に比べても恐ろしく多様性があります。コスモポリタンです。様々な税控除や企業支援で世界中から高度技能者や企業がやってきます。オランダに欧州本社を置く企業も多いのです。

性にも大変開放的で、毎年大きなプライドパレードが開催されます。

ルールは細かいのですが明白です。金融やビジネスは大変合理的で契約社会なので仕事をする上では安心感があります。(私はオランダと仕事するとホッとします)

ルールはしっかり守るので、マンションや住宅の騒音には非常にうるさいですし、日本のようなブラック労働は無理です。働く側に訴えられてしまいます。その代わり曖昧さを嫌うので柔軟な対応はやってもらえません。契約書や要件定義を重視です。

合理的にやってきたので、オランダは小国でありながら実に健全な成長を遂げています。ここ20年の経済パフォーマンスは日本よりずっと良いのです。無駄は省き合理性を追求する国民性がここ最近の情報産業や金融にぴったりとあっています。

オランダの合理性の中心にあるのは近代合理主義であり、無駄を省いたシンプルさであり、極めてプロテスタント的な価値観なのです。プロテスタントの教会はほとんど飾りがなくシンプルなのに似ています。

だから個人の自由を制限し、教義に従わせ、宗教が生活の中心であるイスラム教徒とは極めて相性が悪いのです。