学級委員の自民党君がいない東京15区では規律ができず、候補者のベクトルが定まらず、一部の候補者は選挙妨害し、逮捕者もでて、なりふり構わぬ情勢に傍観者である大多数の国民は「あほらし!」と思っているのでしょうか?
更におまけもあります。候補者の一人、乙武洋匡氏であります。なぜ乙武氏だったのか、ここの原点に立ち返ると小池百合子女帝の描いた伏線が出てきます。女帝は「いつかは首相」を夢見ていました。しかし、71歳の年齢からすると今から国政に再度打って出るには如何にも高齢ではないかという気もしますが、アメリカの両大統領候補の年齢よりはるかに若いと思えば不可能ではなかったと思います。
ところが小池旋風という風は吹かなかった、というより支援者も高齢化して風を吹かせられなかったのではないか、という気もするのです。事実、目黒区長選で小池氏の推す候補者が先週落選、都内の首長選では初の黒星となります。おまけによくも飽きずに出てくると思うのがカイロ大学卒業疑惑。今回も小池氏の元側近、小島敏郎氏がのろしを上げ、疑惑追及に走っています。当然ながら小島氏のターゲットは夏の都知事選に向けたものであります。
では女帝は本当に卒業していないのか、ですが、そんなことはどうにでもなる、というのが私の答えです。私も「女帝」は発売後すぐに読みました。なるほど、要領の良いお嬢さんでしたが、学業ができた才女のようには読み取れませんでした。もちろん、筆者の意向もあるのでそれをそのまま鵜呑みにはできませんが、学業ができて優秀な成績だったかは怪しいと思います。ではカイロ大学の卒業証書はウソか、といえば本物の様な気がします。大学の卒業はある程度有名で後世に名を残すような人であれば出来なくはないと思います。
例えばアルフィーという音楽グループがいます。彼らは明治学院大学に在籍していたのですが、卒業はしていません。ところが同大学の創立150周年の際にメンバー全員に名誉学士を与えられたのです。つまり大学を離れて40年後にめでたく形式上「卒業」であります。実は似たような話が青山学院でも一部で持ち上がりました。今年創立150周年ですが、アルフィーの例をもとに桑田佳祐氏を卒業させ、校友にしようという話です。原由子氏は卒業しているはずですが、桑田氏は卒業していません。なので、同じように名誉卒業を、というわけです。メリットは学友になれること。そうすれば桑田氏を全面的に推せるので大学のセールスにはもってこいなのです。ただ、この話、結局幹部から「本人がそれを望んでいるかわからないし、難しいだろうねぇ」でその後は展開していないというのが私の理解です。
余談はさておき、小池氏は国政で大臣を務め、都知事を2期務めあげるところであり、好き嫌いは別にしてどう控えめに見ても日本を代表する大政治家の一人と考えてよろしいかと思います。カイロ大学としては名誉でしょう。立派な政治家があの日本で活躍しているのです。そしてある意味女性の大政治家としては自民党の宰相を狙う数々の女性たちに比べ比較にならない知名度と経験そして修羅場を潜り抜けた方だと素直に認めています。それを小島氏が卒業云々でチャチャ入れるのは正攻法ではないと思います。
それでも小池氏の神通力が通用しなくなったとなれば東京15区から補選で国政に出て、一気に首相の座を狙うというとんでも大作戦というオプションは難しいと判断したのでしょう。そこで乙武氏だったのです。乙武氏の出馬は確かにインパクトがあったのです。ただ、思った以上にすそ野が広がらなかったのです。これは想定外でした。
いずれにせよ、今日これを書いている時点で選挙予想は極めて難しいと申し上げてよいでしょう。先週トップを独走していた酒井菜摘氏は一週間ほど前の公開討論会で候補者で唯一多忙を理由に欠席しました。選挙候補者でこれほど重要なイベントにおいてそれ以上の多忙は基本的にないはずで意図的に出なかったのでしょう。それは「酒井叩き」が行われることが目に見えていたからです。
大声で他候補者にプレッシャーをかけ続ける根本良輔候補が酒井陣営に近づいているとの情報で路上演説を止めてしまうほど神経過敏の方は先行逃げ切りをしたとしても論戦出来ないような政治家が正しいかは疑問ですね。一方で自民党の支持票が維新候補者と日本保守党の候補者に票割れしている状況で団子戦というかモグラたたきの様相であります。
私がみた東京15区の選挙は無秩序。かつて北アフリカの春で独裁政権が倒され、民主主義万歳と叫んだもののその後、ほとんどの国で国政が安定せず、往生したのと同じで今回の選挙では好き勝手やり放題の野放図状態を見たということです。自民党がいなくなるとこのような状況に陥るという政治後進国を改めて示した点で少なくとも私には大変勉強になっております。
政治も見る角度を変えると全く違う色のピクチャーが見えてくるものですね。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2024年4月24日の記事より転載させていただきました。