日本の政治体制
岸田政権の支持率低下は深刻だが、問題は、岸田総裁に代わる新たな自民党のリーダーは誰なんだ?と問われても、即答できる人はなかなかいない。
自民党総裁が事実上の政権選択であることは間違いない。かつて麻生内閣が崩壊した時、自民党は有権者からお灸を据えられる意味で政権交代が行われた。それが良かったか悪かったか?について、私は第二次安倍政権誕生の布石になったと言う意味では良かったと考えている。
また、旧民主党のようにリベラルを自称しているにも関わらず、リベラルな政治が行えない政治家の多くは、政治イデオロギーに傾注するあまり、国政が担うべき本筋の部分と理想主義に偏ることが混同され、スタンスを明確に出来ないことが「明確」になった。
つまり、自民党が50年近くかけてやってきた日本に相応しい政治体制、その在り方を、わずか3年ほどの経験で乗り越えることは不可能だ。政治家はそれほど柔軟ではない。
また、日本は官僚政治体制であるため、政権運営経験の無い政治家は官僚に頼り切りになる。官僚だって人間だから、いくら役人は国会で決まった法律に従い業務を行うと言っても、政治家の資質や政党が何を目指しているかは見ている。当然、こいつらが政権運営したら、日本が大変なことになると思えば、協力したくなくなるのは畢竟だ。
旧民主党は政党名を変えながら、旧民主党にとって忌まわしき第二次安倍政権時代、官僚をイジメにイジメ抜いて安倍政権を政策や法案ではなくスキャンダルで追い落とそうとした。私は、今でも、自殺者を出した森友文書の件は、野党による官僚への追い込みが原因だと考えている。
つまり、そんな役立たずの野党を、官僚も有権者も、ちゃんと見ているのだ。
話を元に戻すと、これまでの自民党政治は、良くも悪くも日本の政治そのものであったことを今一度思い返す必要がると思うのだ。
東京都知事選での各党の動き
現在、東京都知事選が話題になっているが、小池都知事は自民党に対して支援は求めないとしている。自民党としても、敢えて党として全面支援しない方向のようで、自民党都連は勝手連として小池候補を支援することになるだろう。
政治資金規正法改正のゴタゴタもあり、岸田政権の支持率は低下したままで、自民党への支持率も低下している。来る衆院選で、あわよくば政権交代を狙っている立憲民主党をはじめとする左派政党だが、その大きな試金石となるのが東京都知事選で、なんの試金石かと言えば、左派政党が本当に一枚岩になれるのか?という一点だろう。
東京都知事選に関しては、本来であれば連合は蓮舫氏支援に動くべきところだが、日本共産党が蓮舫氏支援を打ち出し、また実際に共産党員が事前運動を積極的に行っていることを受け、連合としては蓮舫氏支持をしないと決めた。連合と日本共産党はそれくらい、仲が悪い。
また日本共産党が蓮舫氏支援を行うことについて、立憲民主党の泉代表は、蓮舫氏は立憲民主党を離党した上で無所属で出馬することになり、立憲民主党としては推薦や支持は行わないとしている。つまりこちらも立憲民主党都議が、勝手に蓮舫氏を支援するという形をとっている。
これは、日本共産党が先に蓮舫氏支持を打ち出したことと、連合との関係性において危機感を感じた泉代表の判断であろうと考えられる。どの道、遅かれ早かれ衆院解散が行われるからだ。
一方、国民民主党は東京都連として小池百合子氏支持を表明した。ここでも、野党が一枚岩では無いことが露呈した。
東京都民は圧倒的に浮動票が占めているとしても、このように野党が一枚岩になれない現状を、都民はどう見るだろうか?
この状況は一種の不安定さの表れであり、政治的にリベラルな有権者が多い東京都民にとっては、果たしてこの不安定な背景の候補者に投票しようと思うだろうか?また、東京都知事は現職が圧倒的に強いことに加え、先日の蓮舫氏と小池氏の公約の中身の違いは歴然で、いかに具体的な数字が無いとは言えど、蓮舫氏の公約に不満の多い都民が多数に上ることは目に見えている。
公約発表の時、蓮舫氏は公約の具体的な中身は都知事になって初めて具体論に踏み込むとしている。ようはメタリアルなデータは東京都が握っており、データを見ないと具体論に踏み込めないと言うのだ。これは異なことを言う。立憲民主党にだって都議はいるし、そもそも都の財政は全て公開されているのだから、蓮舫氏にはそれを分析するくらいのブレーンもいないのだろうか?蓮舫氏は行財政改革の専門家ではなかったのか?
これはつまり、当選したその日から都政に踏み込むのではなく、運よく都知事に当選すればラッキーくらいのことしか考えていないことの表れだろう。蓮舫氏が本当に見据えているのは、衆院解散であり、政権交代して総理になることだ。衆院選に落ちたって構わない。来年の参院選で返り咲けばいいと考えている。
実はここに、政治の世界の見立ての甘さがあり、明確な自民党政治との違いが見て取れる。
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以後、
・今後の政局
続きはnoteにて(倉沢良弦の「ニュースの裏側」)。