地方議会の権力と腐敗①:地方議会の決定権とその威力

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市議会議員は、何をする人でしょうか?

一般的に、市長については「会社の社長みたいなもの」ということで、ある程度その仕事や役割のイメージはつくようですが、市議会議員となると仕事内容の理解はまだまだ浸透していないように感じられます。

市の条例の制定や改廃、決算の認定、契約の審議などいろいろありますが、その中でも特に重要なのが「予算の決定」です。

例えば佐倉市の今年度の予算は552億4,300万円です。その予算を使った事業を「やるか、やらないか」を決めることができるのは、28人の市議会議員しかいません。その意味で、事業を「提案」することしかできない市長より、「決定権」を保有している議会のほうが、より強力な権力を持っている、ともいえるのです。

そのため、市議会議員の過半数の賛否、つまり「やるorやらない」の決定権を独占することができれば、「賛否を独占した議員団」は、その市では「無敵の存在」になります。

今回の私の記事は、ある友人との市議会に関する会話をもとに、その内容をブラッシュアップしたものです。これを読んでいただければ、市議会議員の「権力の源泉」と、その権力が腐敗していくプロセス、及びその「腐敗」により、市民が「わからないうちに」大きな損失を受けている構造についてご理解いただけます。

私は、アゴラでの言論の公開を通じて、日本全国の議員、市職員、学識経験者などの皆さまから、さまざまな情報をいただく機会が増えました。これからのお話しは、もちろん佐倉市の事例も含みますが、全国的な問題もあわせてQA形式で説明していきます。

Q1. 市議会において、議員は何をする人たちなのですか?

地方議会議員にとって最も重要な仕事は、市長が提案する事業について「やるかやらないか」を決めることです。

市長は、予算を前提とする事業を、議会に「提案」することしかできません。市長が「提案」した事業を、議員が多数決で「やるかやらないか」を決める場が「議会」であり、議会で賛否を表明できるのは、市民によって選ばれた市議会議員だけです。

もう少しわかりやすく言うと、市議会議員は「市のお金の使い方を決定する」権限をもっている、ともいえます。

佐倉市の場合、本年の当初予算で年間552億4,300万円、この予算をもとに提案された事業の「やるorやらない」の全権を握っているのが、28人の市議会議員、ということになります。

Q2. 市長は一人なのに、議員が複数人いる理由はなんですか?

市長は、市役所の人事権を握るトップであり、行政の長です。そのため、議会に事業とその予算を提案する責任と役割を持っています。

市長が議会に提案する内容は「議案」と呼ばれています。

その議案は、佐倉市の場合約千人いる職員が、しっかり練ったものです。例えば、ある場所に道路を作りたい、その予算は10億円だ、という議案があったとき、それは役所のたくさんの職員が、その必要性や全体的な予算のバランスを検討し作成します。市長は、一般的にはその内容やバランスを理解したうえで議会に提案しています。

一方、議員は市民の代表ですから、議員が一人だった場合、佐倉市17万人の声を拾いきることはできません。また、そもそもその一人の議員が市民の声を聴く努力をしなかった場合、市長が提案した議案の賛否について、その議員の意見や価値観だけが反映されるため、偏った判断になります。そのような偏りを防ぐために、議員が複数人いるのです。

議員が複数人いることで多様な意見が出され、それらをもとに議論を重ねることで、より良い決定が下されることが期待されます。

つまり、議会は執行部から説明を受けた「議案」について、各議員が議会でしっかり議論し、その内容の是非を市民と検討し、多数決にて議決すること、また賛否の理由を市民に説明することが期待されているのです。

次稿は、引き続きQA形式で詳述していきます。