その表現ちょっと待った!過剰敬語「させていただく」の乱用とその影響

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ビジネスシーンでもよく使われている「~させていただく」という表現に違和感を覚えたことはありませんか。使いすぎには注意が必要です。

「させていただく」の表現は、国政の場でも一般的になりつつあります。「国会会議録検索システム」で「~させていただく」が、どの程度使用されているのか調べてみます。

まず、総件数は、50万件を超します。2000年以降を調べますと、2010年前後から使用頻度が増えていることがわかります。

2010年以降に何があったのでしょうか。筆者なりに仮説を立てると、時期的には民主党(当時)の与党時代(2009年~2012年)と重なることが分かりました。

民主党の鳩山由紀夫内閣が発足したタイミングです。筆者が違和感を覚えたのが、「代表を務めさせていただいております」「質問させていただきます」という国会答弁でした。また、当時は、行政刷新会議が行っていた「事業仕分け」なるものが注目されます。

正義の味方の民主党が、国家予算のムダづかいをする役人を懲らしめる場面は記憶に残りました。このときに多用されたのが「この事業は中止とさせていただきます」でした。

民主党は選挙という国民の負託を経て政権を奪取しました。「政治家は言葉が命」といわれますが、言葉を安易に捉えすぎていたように思います。

最近では、タレントが使用している場面を見かけます。

「出演させていただきます」
「お付き合いさせていただいております」

丁寧な話し方だと思っているのでしょうか。筆者には不可解なへりくだりにしか聞こえません。

先日、料理番組で次のような表現を使っているアナウンサーがいました。

「それでは、いただかさせていただきます」

そうではないですね。「遠慮なく頂戴します(or いただきます)」で十分のはずです。このアナウンサーの言い方では二重敬語になってしまいます。

他のケースでは尊敬語を重ねた「おっしゃられる」「~ご覧になられましたか」や、謙譲語を重ねた「ご参上される」なども当てはまります。

最近、スマホで文字を書くことが多くなったせいか、意味不明な言葉が増えたように感じています。この機会に、「大人にふさわしい文章力」を身に付けたいものです。

尾藤 克之(コラムニスト・著述家)

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