2021年、フリーランス人口が約600万人も増加し、調査開始以後最大の上昇幅となりました。しかし平均年収は93.1万円という現実があります。会社員時代にビジネスについてよく学んでいない女性も多く、男性と比べるとまたセールス未経験者も少なくないのです。
「さよならSNS集客 350万円の壁をこえる女性起業家がやっていること」(吉田淑恵 著)秀和システム
[本書の評価]★★★★(80点)
【評価のレべリング】※ 標準点(合格点)を60点に設定。
★★★★★「レベル5!家宝として置いておきたい本」90点~100点
★★★★ 「レベル4!期待を大きく上回った本」80点~90点未満
★★★ 「レベル3!期待を裏切らない本」70点~80点未満
★★ 「レベル2!読んでも損は無い本」60点~70点未満
★ 「レベル1!評価が難しい本」50点~60点未満
強みとは何なのか?
「強み」という言葉をよく聞く。多くの起業家は、自分の強みを知ることが成功のカギだと思っている。一般的に言われる強みとは、あまり考えなくても自然にできること、つまり「息をするようにできること」に他ならない。吉田さんは次のように指摘する。
「ほとんどの人は、自分の強みを正確に把握できていません。自分の強みだと思っていることが、そうではない場合もあります。何かが『得意だ』と感じていても、それが本当に強みなのかどうか、自分では判断しにくいことがあるのです。だから、間違った自己認識のまま努力を続けて、なかなか結果が出ないということが起こります」(吉田さん)
「私は、丁寧に作業することが自分の強みだと感じていました。実際に、ハンドメイドの教室を開いたときには、この強みがとても役立ちました。でも、それがいつも役立つわけではありません。以前ラーメン屋でパートをしていたとき、私はお皿を「ていねい」に洗っていたのですが、店長から『皿洗いがおそい』と怒られたことがあります」(同)
ラーメン屋ではスピードが大事なので、丁寧さは必要なかったということ。強みが適切かどうかは、状況や相手によって変わるということでもある。
プロでも難しい強みの整理
起業する人は、自らの体験や知識が、誰かの役に立つと考えている。自分の「得意」は、誰かの「苦手」でもあり、そのエッセンスが大いに役立つことがある。
弁護士であれば「文章のみでの伝え方」は秀逸だろうし、アパレルの販売員であれば「好印象を与えるファッション」については熟知しているだろう。片付けや、捨てることも、整理整頓も、それを欲している人がいれば技術だといえる。
起業の際には、自分自身のたな卸しが必要になる。今までの人生経験の強みや弱みなど、様々な出来事を精査する必要性がある。しかし自分でたな卸しをして卓越した事業を構想することは簡単ではない。
さらに、「自分自身が考えている強み」は客観性にとぼしいので、他者と一線を画するほどのオリジナリティに溢れていることは少ない。専門家にヒアリングなどをしてもらい、充分に戦略を練ることも必要なのだろう。
その上で、自分の才能をしっかり理解し、お客様の本当の目的を見極め、スキルと組み合わせることが大切である。
尾藤 克之(コラムニスト・著述家)
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2年振りに22冊目の本を出版しました。
「読書を自分の武器にする技術」(WAVE出版)