(前回:佐倉市草ぶえの丘の指定管理者選定問題①:議会の横暴に関する典型事案)
草ぶえの丘指定管理者の変遷
佐倉市では、草ぶえの丘というレクリエーション施設があります。
主に、子どもたちに自然との触れあいを楽しんでもらう目的で作られた施設であり、設立当初は佐倉市が直営で運営していました。
一方で、公の施設の運営を民間事業者に任せることができる仕組みである「指定管理者制度」という制度を、2003年に国が作った後は、佐倉市はその制度を積極的に取り入れ、同施設を指定管理で運営するようになりました。
同施設は、主に佐倉市ユーカリが丘のデベロッパーである山万等からなる山万グループ(以下「山万」)と、フラワービジネスを全国展開している日比谷花壇等が主体となり、指定管理事業の実績もあるアメニス・プラネット共同事業体(以下「アメニス社」)が競争しつつ、指定業者として選ばれ運営されていました。
- 2006年~2008年:山万
- 2009年~2013年:山万
- 2014年~2016年:アメニス社
なお、本施設の指定管理期間は、民間の競争原理を働かせること等を勘案し、常に5年以内に設定されていました。また、この5年以内という期間については、国が示す基準ともなっており、2023年の総務省の調査でも、全国の92.4%の指定管理が5年以内に設定されています。
【参考】指定管理者制度について 総務省
また、指定管理者の選定は、入札同様、行政が施設に応じて作り込んだ仕様書にのっとり、事業者から提案された内容を、外部の諮問機関に厳正に審査いただく選定方法であり、その結果は当然に説得的な理由がなければ議会が介入し否決することは慎むべきものです。
2016年、指定管理の実施を可決した議会の判断にのっとり、予定通り同施設の指定管理者選定審査が行われました。その結果、アメニス社が選定され、地元の事業者である山万が次点で落選しました。しかし、この選定の結果を、さくら会、公明党、無会派議員の一部が説得的な理由もなく否決してしまいました。
(詳細はこちらの拙稿にございますので、ご興味がある方はご確認ください)
その結果、同施設運営を佐倉市が直営で行わざるをえなくなり、人件費含め年間約8千万円もの支出の他、本来他事業要員として計画されていた大勢の職員も、同施設に配置されることになってしまいました。
その状況を重く見た佐倉市は、再度同施設を指定管理として運営するため、指定管理選定審査を実施すべく、議会に議案を上程しました。指定管理の実施自体は、今回も佐倉市議会が可決し、結果2020年に指定管理者の選定が厳正に行われました。結果は、2016年同様、アメニス社が選定され、山万が次点で落選しました。そして、この年もまた、この選定の結果を、さくら会、公明党、自由民主さくらが説得的な理由もなく否決してしまいました。
なお、この時は私も佐倉市議会議員となっており、本審議に加わりましたので、その時の賛否表を掲載いたします。
【参考】繰り返される謎の否決 損なわれる市民のレクリエーションと年間3,000万以上の「無駄な赤字」の発生
この結果、またも佐倉市は、本施設運営のため年間約1億4,530万円の経費をかけることになりました。仮に、審査結果通りアメニス社に管理を任せた場合の差し引きでいっても、年間約3,200万円の「税金の無駄遣い」となり、現在にいたっています。
さくら会等が指定管理の結果を2回否決したことで、合計9年間の歳月がたちました。
以上により、単純計算で
9年間 × 3,200万円 = 2億8,800万円
の「無駄な税金」が投入されたことになります。
次回は、指定管理者の選定のプロセスを俯瞰し、佐倉市議会の否決行為がいかに不合理であるのかを確認します。
(次回につづく)