印鑑と保険証はもういらない

キヨスクなどで買い物をして「領収書をください」と頼むとレシートとは別にレジからプリントアウトしてくれることがあります。

不思議なのは、そのプリントアウトされた領収書にわざわざ対応してくれたスタッフのシャチハタ印を押す場合が多いことです。

担当者の印鑑が押してあってもなくても、領収書としての効果は変わらないと思います。であればこのような無駄な作業は廃止したほうが良いのではないでしょうか

仕事でも請求書にまで押印を要求してくるところがあります。社内ルールなのかもしれませんが、印鑑証明と一緒に使われる実印以外は実質的な意味はありません。書類のやり取りをレターパックで行うのは手間がかかり何とも非効率で高コストです。

いきなり印鑑を全廃する事は現実的に無理だとしても、せめて形式的に押しているだけの意味のない認印はなくせば良いと思います。

もう1つなくても良いと思うものは保険証です。政府は紙の保険証の発行を昨年で終了し、マイナ保険証の普及に努めていますが、これに反対する政党があるようです。

そもそも写真が付いておらず、本人確認証として不完全なものにもかかわらず、いまだに病院だけではなく身分証明として通用する場合があるのが不思議です。

wakashi1515/iStock

簡単に偽造することができ、なりすましにも使われてしまう写真のない身分証明書は、悪用が増えているとの話もあり、もはやデメリットの方が大きいのではないでしょうか。

日本人は印鑑や保険証のように昔から使われていると言うだけで、廃止することにアレルギー反応を示す現状維持バイアスが強いようです。

変化に対して「高齢者イジメ」「弱者切り捨て」といった反対の声に押されて、悪しき慣習はなかなか変わりません。

しかし、このような小さな非効率の積み重ねによって日本国内の生産性向上が阻害され、日本がどんどん貧しくなっていくのは困ったことです。

※写真は印鑑ではなくお寿司です。念のため(笑)。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2025年2月4日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。