なぜ共和党のカラーは赤、民主党は青なのか

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「赤い州も青い州の集まりではない、我々は常に、そしてこれからもアメリカ合衆国だ」とは、オバマ氏が2008年米大統領選の勝利演説で放った言葉です。

ところで、なぜ共和党が赤で、民主党が青なのかご存知でしょうか?

過去を振り返れば、共和党は青とのつながりは遥かに長いんですよね。後に第16代米大統領となるエイブラハム・リンカーン率いる北軍は濃紺の軍服で、南軍が伝統的に着用していたグレーと判別できるよう分けていました。ミネソタ大学のラリー・ジェイコブス政治学教授も、「民主党といえば青を連想しがちだが、実は南北戦争時代に遡れば、共和党の色だった」と指摘しております。

米国議会図書館には1880年の米国地図をみても一目瞭然で、その年の大統領選挙の結果が示されるなかで、青は共和党を表していました。

画像:1880年当時の米大統領選結果、小さくて見えづらいですが、白枠内の青はREP、赤はDEMと明記してあります。

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(出所:LOC

その後、なぜ青が民主党カラーにシフトしてしまったのでしょうか?答えは、カラーテレビの普及にあります。

それまで、視聴者がテレビで目にするのは長い間、白と黒だけだったため、色の識別は必要ありませんでした。サッカーボールが白黒であることと、同じ理由ですね。

政党別の色を復活させたのは、1976年のNBCニュースです。民主党のジミー・カーター候補が勝利した州を赤で色分けした地図を発表したのですよ。配色の由来は英国で、今でも労働党のカラーは赤、保守党のカラーは青ですよね。

1980年の米大統領選ではCBSニュースがこれに倣い、共和党のロナルド・レーガンが勝利した州を青で識別しました。しかし、その後しばらくメディアはどの色がどの政党を表すかについて統一していなかったといいます。

しかし、2000年に現代の政党カラーが確立します。ニューヨーク・タイムズ紙とUSAトゥデーが、紙面に掲載した米大統領選のフルカラーの結果を民主党は青、共和党は赤で色分けしたのです。当時、米大統領選はフロリダ州の再集計を余儀なくされ、なかなか結果が出ませんでした。その結果、色分けする必要が生じたわけです。NYT紙が共和党に赤を使った理由は、「赤はRで始まり、共和党はRで始まる」ためだったとか。

ほんまかいな〜、とツッコミたくなるお話でした。結果論ながらトランプさんにお似合いで、その強烈な個性を表す上でもバッチリ。また、TRumpRはRedの頭文字という観点でも、落ち着くところに落ち着いた感はあります。


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK –」2025年2月28日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。