トランプ対ゼレンスキー:日本も最悪を想定した準備を!

米国とウクライナの会談は物別れに終わった。テレビで8分強の激論のすべてが報道されていたが、トランプ大統領のゼレンスキー大統領に対する脅しに、気分が悪くなってきた。一言で言うと、「君たちウクライナは何のカードも持っていない。アメリカが支援をやめると戦えないだろう。黙って従え。」と聞こえた。他のニュース番組で部分的に切り取られたものを見たが、全編を見ると印象が大きく異なるものだった。

ゼレンスキー大統領とトランプ大統領

副大統領の「外交で解決すべき」とのコメントに、ゼレンスキー大統領は「2014年のクリミア半島侵攻時の停戦合意を守らず、ロシアは攻め込んできた。あなたの外交とは何を意味しているのか?」と反論した。それをきっかけに大激論となったが、ウクライナとロシアの戦争に、ウクライナ抜きで米ロが停戦を協議する仕組みがよくわからない。レアメタルを獲得するために、悪徳商人が口利きを働きかけているようにしか映らない。

しかし、この様を他山の石として、日本は考えねばならない。米国が自国の利益しか考えないと他国が悟った時、隣国で異変が起こるかもしれない。米国が巻き込まれるのを嫌って、米軍を日本や隣国から引き揚げた時、日本はどうするのか?今日の米・ウクライナ会談を見て、もしもの時に、「日本に武器を供与して助けてやるから、感謝しろ。」と言われる可能性があると感じた。

国家の安全保障は、最悪の事態を想定した備えが必要だ。日本には天然資源と呼ぶべきものがないので、何も助けてくれないかもしれない。戦後80年、昭和100年を迎える今年、自国を守ることを真剣に考える時でもある。


編集部より:この記事は、医学者、中村祐輔氏のブログ「中村祐輔のこれでいいのか日本の医療」2025年3月1日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、こちらをご覧ください。